伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

バングラデシュ(親日の国)

【パハルプールの仏教寺院遺跡群】


 南シナ海で中国の示威行動がエスカレートしていることにアジア諸国の懸念が高まっているが、その一方で日本への評価は高まっている。


  一人当たりのGDPが日本の40分の1で、アジア最貧国といわれるバングラデシュでは、日本への信頼は厚い。菅原伸忠氏は、NGOシャプラニールのメンバーとして2010年から2012年まで現地に駐在していた。バングラデシュでは2007年に巨大サイクロンに襲われ、大きな被害を受けた。菅原氏も駐在中は復興支援活動に従事していた。


  驚いたのは、2011年3月。東日本大震災が発生したときだ。このとき菅原さんは、サイクロン被害にあったバングラデシュ人から、地震と津波の被害にあった日本人へ、応援のメッセージを預かろうとしていた。ところが、話を聞いた地元の長老は、村の人々を集めると、こう大演説をぶったのだ。


 「寄付に協力してくれ。私たちを助けてきてくれた日本人に、恩返しをしようじゃないか。1タカ(約1円強)、2タカでも構わない」


  村人は呼びかけに応えて次々に、シワだらけの紙幣を長老に手渡す。若い学生は、50タカ札を手に、悩んだ挙げ句に決断した。


 「やっぱり、100タカ出す」


 わずか約130円。それでも、菅原さんはその気持ちが嬉しく、「思わず泣いてしまいました」という。

        【週刊ポスト2014年5月30日号から引用】