伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

夏の思い出(夏天的回憶)

 【尾瀬(正面の雪の残っている山は、尾瀬ヶ原南西にある至仏山)】


 一昔前、伊賀山人は群馬県に住んでいました。
 当時、5月の連休が過ぎる頃には、毎年尾瀬(おぜ)に出かけました。


 尾瀬は、群馬県・福島県・新潟県の3県にまたがる東西約6km、南北3km、標高1400m~1660mのなだらかな傾斜のある盆地状の高原で、中心となる尾瀬ヶ原は約1万年前に形成されたと考えられている湿原です。
 尾瀬には、ミズバショウやミズゴケなど湿原特有の貴重な植物群落が自生しており、ほぼ全域が尾瀬国立公園に指定され日本百景にも選定されています。


 尾瀬というと水芭蕉を連想するのは、唱歌「夏の思い出」によるところが大です。 
 この楽曲は、江間章子作詞、中田喜直作曲によるもので、1949年(昭和24年)6月13日にNHKのラジオ番組『ラジオ歌謡』にて石井好子の歌で放送されました。
 その後、瞬く間に多くの日本人の心を捕え、曲中に現れる尾瀬の人気は飛躍的に高まりました。


 石井好子の歌は当時レコード化はされず、レコードで発売された最初の音源は、1954年6月発売の藤山一郎が歌ったものです。


 曲の冒頭の「夏が来れば思い出す」の1句が特に有名ですが、この歌で言う「夏」とは旧暦の夏ですので、夏休みになってから尾瀬に行っても、既に殆どの水芭蕉は姿を消しています。


 尾瀬では、5月になってもまだ雪が残っていますが、立夏(今年は5月5日)以降、急速に雪解けを迎え、5月中旬に咲き始めた水芭蕉は6月になると見ごろを迎えます。
 早くも6月中旬にはしぼみ始めますが、場所によっては7月でも見ることができます。


 なお、水芭蕉は、その衣を纏ったような姿が観音菩薩に似ていることから、別名「觀音蓮(カンノンバス)」とも呼ばれています。


 【水芭蕉(觀音蓮)】


 
 夏の思い出          夏天的回憶


夏がくれば 思い出す            如果夏天到 想起
はるかな尾瀬(おぜ)遠い空         遙遠的尾瀨 遠的天空
霧のなかに うかびくる           浮在霧中 上來
やさしい影 野の小径(こみち)       和善的影 野的小徑
水芭蕉(みずばしょう)の花が 咲いている  觀音蓮的花 開著
夢見て咲いている水のほとり         做夢開放的水旁邊
石楠花(しゃくなげ)色に たそがれる    似石楠花顏色 黃昏
はるかな尾瀬 遠い空            遙遠的尾瀨 遠的天空


夏がくれば 思い出す            如果夏天到 想起
はるかな尾瀬 野の旅よ           遙遠的尾瀨 野的旅行
花のなかに そよそよと           向花中 和風吹拂
ゆれゆれる 浮き島よ            搖晃搖晃的 漂兒島
水芭蕉の花が 匂っている          觀音蓮的花 映照著

夢みて匂っている水のほとり         做夢映照的水旁邊
まなこつぶれば なつかしい         如果眼珠閉上 懷念
はるかな尾瀬 遠い空            遙遠的尾瀨 遠的天空


  尾瀨懐舊
 水國芒種後
 夏入尾瀨好
 遙憶觀音蓮
 濕原散芳香



 さて、今回は、クラウン少女合唱団の演唱をご紹介します。
 この合唱団は、日本初の児童合唱団であった「青い鳥児童合唱団」を継承する形で1964(昭和39)年にクラウンレコード専属合唱団として設立されたもので、50年以上の歴史を有する由緒正しいグループです。
 蛇足ながら、団員個人の歴史としては、年齢制限が3歳から中学2年生までとなっていますので、最も古参の団員でも10年程度です。


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