伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

俳句・短歌創作講座

 俳句や短歌の作り方は、漢詩の作り方を応用すると簡単です。


 漢詩でよく行われる作り方として、あらかじめ漢字2字・3字の詩語というものを集めておいて、それらを組み合わせる方法があります。


 例えば、新春・満天・万里・洋洋・山色・天地・太平風・瑞雲中・旭日紅などの詩語を適当に組み合わせて、
  新春天地瑞雲中(新春の天地は瑞雲の中)
  万里洋洋旭日紅(万里洋洋として旭日は紅なり)
といった具合です。
 このような要領で作れば、各句の多少の矛盾を無視すれば、あっというまに数限りなく作れます。


 これを応用した俳句・短歌の作り方は、次のとおりです。


1 俳句創作講座
 俳句は、上五、中七、下五の17文字からなります。


 上五には、詩語として季語を選びます。例えば、「初春や」とか「朝顔や」などです。
 中七と下五は、一括して詩語を決めておきます。例えば、「猫が座敷を通り抜け」とすると、一体、この猫はどこからきてどこへ行くのだろうかと、詩情が深まります。「名張の里のわび住まい」とすると、伊賀名張の山中で俗世間から離れて風流に住みなす山人の明鏡止水の心境が感じられます。
 
 これらの詩語を組み合わせると、次のようになります。


  初春や 猫が座敷を 通り抜け
  朝顔や 猫が座敷を 通り抜け
  秋深し 名張の里のわび住まい
  木枯らしや 名張の里のわび住まい
    ・
    ・
    ・ 
 切りがないので、次に短歌の作り方に移ります。


2 短歌創作講座
 短歌は、5・7・5の上句と7・7の下句とからなります。


 上句については、俳句創作講座で学習した俳句をそのまま使います。
 下句については、7・7をまとめて詩語を作っておきます。
 例えば、「それにつけても金の欲ししか」とすると、石川啄木調になります。


 これらの詩語を組み合わせると、次のようになります。


  初春や猫が座敷を通り抜け それにつけても金の欲ししか
  朝顔や猫が座敷を通り抜け それにつけても金の欲ししか
  秋深し名張の里のわび住まい それにつけても金の欲ししか
  木枯らしや名張の里のわび住まい それにつけても金の欲ししか
    ・
    ・
    ・ 
 やはり、切りがないので、この辺で今夜の講座を終了します。


 「一同起立!」 「礼!」 「着席」


追記: 上記講座のご利用はあくまでも自己責任となります。こんな適当な要領で俳句や短歌を作って、人に笑われ恥をかいても伊賀山人は一切の責任を負いません。