伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

我是一片雲(我れ是れ一片の雲)


 《我是一片雲》は、台灣の女歌手鳳飛飛(フォン フェイフェイ:1953年8月20日-2012年1月3日)が、1977年1月に発表した楽曲です。
 この曲は、その翌月の2月20日に上映された同名の台灣映画の主題歌として作られたもので、映画と共に大ヒットとなりました。
 その映画は、これまた同名の小説を題材に映画化されたものです。
 その小説は、台灣の女流小説家瓊瑤(けい よう:1938年4月20日-)が、1976年4月22日に書き上げた恋愛小説です。


 物語の内容は、裕福な家庭に育った乙女が、街で出会った明朗闊達な男と恋に落ちますが、その乙女が自身の出生の秘密を知り、また男が海外に旅に出ている間に男の母親がそのことを知って結婚に猛反対をしたことから事態は複雑になり、乙女は自暴自棄になり幼馴染でいつも控えめな沈着冷静な別の男と結婚してしまいます。
 ところが、乙女が本当に愛している海外にいた男が帰ってきて既に他人の妻になっている乙女に再会したことから事態がまた急変します。
 前の恋人こそが本当に乙女の愛する人であることを知った夫である幼馴染は、乙女を愛するが故に離婚に同意をします。


 乙女は乙女で、幼馴染の夫の優しさを知って、真に自分を愛しているのは元の恋人ではなく今の夫であることを悟り、二人の男の間で板挟みとなって、精神に変調をきたしてしまいます。


 そこに現れた元の恋人が、彼女の不審な様子を見てどうかしたのかと尋ねます。
 そこで、乙女は「私はひとひらの雲なの(我是一片雲)、空に浮かんで自由に生きるの。」と語るクライマックスの台詞が、この小説と映画と楽曲の題名である「我是一片雲」なのであります。


 作詞は、原作者の瓊瑤が自ら書き下ろし、台灣の著名な流行音樂作曲家である古月(こげつ:実名左宏元:1930年-)が曲を付けています。


 今回は、鳳飛飛の原唱でご紹介します。



(白文)
我是一片雲, 天空是我家。 
朝迎旭日昇, 暮送夕陽下。 
我是一片雲, 自在又瀟灑。 
身隨魂夢飛, 它來去無牽掛。

ウォ  シー  イー ピィェン ユン , ティェン コン シー ウォ  ジャ。
チャオ イン  シー リー   シェン, ムー   ソン シー ヤン  シァ。
ウォ  シー  イー ピィェン ユン , ズー   ザイ ヨウ シァォ シァ~。
シュン シェイ フン モン   フェイ, ター   ライ チュ  ウー  チィェン  クァ。


(訓読文)
我れ是れ一片の雲、天空は是れ我が家なり。
朝(あした)に旭日(きょくじつ)の昇るを迎え、暮に夕陽(せきよう)の下るを送る。
我れ是れ一片の雲、自在にして又瀟灑(しょうしゃ)たり。
身は魂夢(こんむ)の飛ぶに隨い、それ來去して牽掛(けんかい)することなし。


(現代語訳)
私はひとひらの雲、天空が私の住み家。
朝には旭日の昇るのを迎え、暮れには夕陽の沈むのを送る。
私はひとひらの雲、自由にして屈託がない。
身は夢見る魂が飛ぶに随い、どこへ行こうと気掛かりはない。




鳳飛飛 我是一片雲




   ~~ 如果妳是一片雲 我但願是一陣風 帶引妳飄洋過海 挽著妳奔向天空 ~~