伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

Wings To Fly(翼をください)


 「翼をください」は、元々日本のフォークグループの「赤い鳥」が1970年代に演唱した楽曲ですが、曲調が優れていることから、その後国内外の多くの歌手がカバーしています。
 その中から、今回は、「ニュージーランドの歌姫」「癒しの歌姫」「史上最年少のユニセフ親善大使」ことヘイリー・ウェステンラ(Hayley Westenra、1987年4月10日 - )の英語版「Wings To Fly(空飛ぶ翼)」をご紹介します。


 その前に、ヘイリー・ウェステンラのプロフィールについて整理しておきます。
 少し長くなりますので、興味のない方は次の囲み部分を飛ばして、楽曲紹介に進んでください。

 【ヘイリー・ウェステンラのプロフィール】


 ヘイリー・ウェステンラは、日本人の学生が語学研修で訪れることで知られているニュージーランドクライストチャーチ出身のアイルランド系ニュージーランド人です。

 日本では米語読みの「ヘイリー」の名義で活動しますが、ニュージーランドでは、「ハイリー」に近い発音です。


 彼女は1987年生まれで、祖母は歌手、母方の祖父はピアニストという音楽好きの一家に育ちました。

 6歳の時に学校のクリスマス会で歌を歌った時に、彼女が絶対音感の持ち主であることに気づいた教師に薦められて、ヴァイオリンやピアノ、リコーダーを習い始め、やがて発声練習も本格的に始める傍ら、ジャズダンスやバレエなども習得して、11歳までにミュージカルの舞台を40回以上務めています。


 12歳の時に家族と友人に配布する目的でデモ・アルバム『Walking in the Air』を録音し、1000部を制作し、この録音を終えた後、妹と一緒にクライストチャーチの路上でパフォーマンスを行ったところ、多くの群集に取り囲まれそれを目にしたカンタベリー・テレビ (CTV) の記者から番組への出演申し出を受けたことがプロへの道を歩む契機になりました。


 そして、14歳になったばかりの2001年4月26日に自身の名を冠したアルバム「Hayley Westenra」を発表して念願のプロデビューを果たしています。


 ヘイリーの名が国際的に知られるようになったのは2003年7月10日に、クラシックの楽曲やポップス、マオリの伝承歌のほか、ジョージ・マーティンの書き下ろし曲などを収録したアルバム『Pure』を発表してからのことです。

 このアルバムのバージョンは、ニュージーランド版のほか、オーストラリア版・イギリス版・アメリカ版・日本版・国際版と様々なバージョンがあり、アメリカ版が翌年4月に発表された他はほぼ世界同時に発表されました。

 このアルバムは、イギリスのクラシック・チャートでは1位、総合チャートで7位、日本でも28位と健闘し、国際的な累計売上は200万枚に達しました。

 この『Pure』に収録されている「Amazing Grace(アメイジング・グレイス)」が、日本のフジテレビ開局45周年記念テレビドラマ『白い巨塔』(放送期間:2003年10月9日 - 2004年3月18日) の主題歌に採用されたことから、彼女の名が日本でも知られるようになり、また彼女が日本に興味を持つきっかけとなりました。


 その5年後の2008年5月に日本で自身初のシングル盤「アメイジング・グレイス2008」を発表しました。

 これは3年前に白血病で亡くなった日本の歌手本田美奈子.の残した音源との仮想的なデュエットによるバージョンです。

 2008年6月3日には『NHK歌謡コンサート』に洋楽歌手として初めて出演し、本田美奈子の2004年のライブ映像をバックにこの“デュエット”版による歌唱を披露しました。

 そして、翌6月4日にはこの「アメイジング・グレイス」に加え日本のポップスのカバーを収録したアルバム『Hayley Sings Japanese Songs(邦題:純~21歳の出会い)』を発表しています。


 このアルバムには、日本の歌の美しさをはじめて知ったヘイリーが自ら選んだ日本のポップス12曲が収録されています。

 。「アメイジング・グレイス」の一部とボーナス・トラックの「白い色は恋人の色」ではきれいな日本語による演唱を披露していますが、その他の曲は、英語の訳詞になっています。この英訳の大半は、ヘイリー自身が「癒しの歌姫」としての自らの世界観に合うように意訳したものです。

 『Wings To Fly(翼をください)』は、このアルバムの8曲目に収録されています。


 また、翌2009年9月1日には『 HAYLEY sings JAPANESE SONGS 2(邦題:絆)』を発表しています。


 更に、ヘイリーはデビュー前からチャリティー活動に積極的に参加しており、その実績が評価されて、2003年には16歳で史上最年少の「ユニセフ親善大使」に任命されています。

 その後、アフリカを始め世界各国で困難な状況に置かれている子どもたちのために、精力的に活動を続けています。


 2009年3月には、コンサートツァーの為に来日した折にも、ツァーに先立つ3月10日に東京の児童養護施設星美ホームでのチャリティーイベントの参加し、4月5日に全国15箇所でのコンサートを終えて帰国前には日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)を訪問して意見交換をしています。

 
 歌手の紹介の方が長くなりましたが、以下、楽曲「Wings To Fly(翼をください)」について、簡単にご紹介します。


 ヘイリーの歌う「Wings To Fly(直訳:空飛ぶ翼)」は、曲については村井邦彦の原曲と同じですが、歌詞については山上路夫の原詞をヘイリー自身が自らの世界観に合うように翻案して英訳したものです。


 1970年に山上路夫が書いた原詞は、学園紛争や安保闘争、更にはベトナム反戦運動などの事件が連続する前途の見えない暗い世相を反映して、悩み多く閉塞感に苛まれる一人の若者の立場で、「悲しみのない自由な空へ行きたい」と詠ずる現実逃避的な楽曲でした。
 この楽曲が音楽教科書にも採用されたのは、1970年代後半に教科書出版社の一つである教育芸術社の橋本 祥路(はしもと しょうじ、1948年1月13日 - )が、当時合唱曲としてはクラッシックが殆どであった教科書を「皆が歌えて、楽しめる合唱曲集」にしようと考えて、フォークソングの中から曲調がよく、歌詞も見方によっては大空をイメージして将来への希望を詠じていると解せないこともないことから、この楽曲を選定したことによります。


 2008年6月4日に発表したヘイリーの「Wings To Fly(空飛ぶ翼)」は、山上路夫の原詞とは大きく次の2点が異なっています。
 先ず1点は、登場人物が原詞に見える孤独な自分一人だけではなく、「あなたと私」の二人になっています。
 次に最大の変更点は、原詞の個人的で厭世的な詩風から、恋人或いは友人への純愛歌に変更しています。
 この歌詞の翻案・翻訳は、当時21歳のヘイリー自身が行っています。
     
 「癒しの歌姫」ヘイリー・ウェステンラの人生観・世界観をよく表現した1曲、本人の演唱でご紹介します。



 Wings To Fly
 翼をください
 請給我一雙翅膀


I, I have a dream
A dream of you and me
We're flying high above
We're soaring over sea
私には、私には夢がある
それはあなたと私二人の夢
私達は大空高く飛んで行く
私達は海を越えて舞い上がる

我、我有一個願望
一個屬于你和我的願望
我們一起展翅高飛
越過海洋


Bless me, with some wings
For I, so want to fly
These precious white wings,
Will take me soaring high
翼を与えて祝福してください
空飛ぶことを切望するこの私のために
その貴重な白い翼は
私を空高く舞い上げてくれるでしょう

希望我能得到一雙翅膀
對我而言,我是多麼渴望飛翔
這雙聖潔的翅膀
將會引領我一飛沖天

<サビ節>

To the sun that lights the day

 (Tsubasa wo kudasai, tsubasa wo kudasai…)

 To the clouds that drift away,

 Only then will I be free

 Past the city lights and haze

 Through the autumn trees ablaze

 In the sky, I am truly free,

昼間を明るく照らす太陽の傍へ

(翼をください、翼をください)

また、漂い去って行く雲の傍へ飛んで行く

ただそれだけで私は自由になれる

光りに溢れ或いは靄に霞む街を通り過ぎ

空に聳(そび)えて輝く秋の木々を通り抜ける時

私は真実の自由を得る

飛嚮照亮白晝的太陽

(請給我一雙翅膀、請給我一雙翅膀)
飛嚮轉眼飄逝的雲綵
只有那時我是多麼無拘無束
途徑城市萬傢燈火,懞懞霧靄
穿過鞦天火紅的樹林
在天上我真正的自由自在
 

Just you and me
ただあなたと二人だけで 
只有你和我   


(間奏)


I, I have a dream
We're high, above the trees
The wind is in my hair,
The ocean breeze takes me
私には、私には夢がある 
私たちが木の上高く舞い上がり
風が私の髪を吹き抜け 
大海のそよ風が私を抱きしめてくれる夢が

我、我有一個願望
我們飛過樹林
清風拂過我的頭髮
海洋的和風引領我前進


Tell me, what can I do?
To earn, earn me some wings?
Some precious white wings,
To help me live my dreams
教えて欲しい  私はどうすればよいのでしょうか?  
翼を得るためにどうすればよいのでしょうか?
貴重な白い翼を得るために
私の夢をかなえてくれる翼を得るために…

告訴我,我可以做什麼
是給我一雙翅膀嗎
這雙聖潔的翅膀
將會激勵我為理想而生存

<サビ節2回繰り返し>

Just you and me
ただあなたと二人だけで 
只有你和我 

<サビ節2回繰り返し>

Just you and me
ただあなたと二人だけで 
只有你和我 


  (Tsubasa wo kudasai, tsubasa wo kudasai…~)
(翼をください、翼をください~)
(請給我一雙翅膀、請給我一雙翅膀~)




Wings to Fly by Hayley Westenra (翼をください)



 「赤い鳥」の原唱版はこちら↓



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