伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

風に立つライオン (迎風而立的獅子)


 「風に立つライオン」(かぜにたつライオン)は、日本のシンガーソングライターさだまさし(本名:佐田 雅志(読みは同じ)、1952年4月10日 - )が、31年前の1987年7月25日に『夢回帰線』と題するアルバムに収録して発表した楽曲です。


 この楽曲は、実在の医師柴田 紘一郎(しばたこういちろう、1940年宮崎県生まれ、1971年長崎大学熱帯医学研究所ケニア拠点勤務、1999年宮崎県立日南病院院長、2007年介護老人保健施設 サンヒルきよたけ施設長)のアフリカでの医療体験の実話を元に、さだまさしが作詩・作曲したものです。
(筆者注:さだまさしの場合には、本人のへのこだわりから「作」ではなく「作」の用語を用いる。)


 この楽曲に感動した日本の俳優大沢たかお(おおさわ たかお、1968年3月11日 - )の勧めにより、2013年にさだ自身によって小説化されて単行本が発刊されています。
 また、2015年には、大沢たかおの企画により映画監督・三池崇史のもとで、この小説を題材とした映画が製作されて公開されています。
 なお、この映画の中に出てくる手紙は、主人公の死後、元恋人に届けられるという設定で、歌詩の内容とは異なり、たった1行「お願いですからどうか幸せになってください」とだけ書かれているものですが、柴田 紘一郎医師が自身愛用の万年筆で書いたものです。


 楽曲の方の歌詩は、全篇がケニアのナイロビで医療支援に携わり3年目を迎えた青年医師が、日本に残した恋人から届いた手紙への返信の形式をとっています。
 詩題の「風に立つライオン」とは、あらゆる困難を克服して医療支援に邁進するという主人公の理想と決意とを象徴しています。


 歌詩の内容は、先ず「突然の手紙には 驚いたけど嬉しかった」と詠い起して聴く者の関心を呼び起こします。
 次いで、ナイロビでの出来事や折々の心情を描写しますが、何に驚いたのかは手紙の中には書かれていません。
 最後の一句「おめでとう さようなら」で、全てを了解できる構成になっています。
 詩中には、「ありがとう」「しあわせです」との詩語が見えますが、本人は決して喜んでいるわけではありません。


 曲中の間奏には、讃美歌「アメイジンググレイス」の器楽演奏を取り入れ、後奏にはさだ自身による同曲のハミングとスキャットとを配置して、国際貢献の理想を実現するために邁進する男が必ずしもそれが受け入れられない厳しい現実に直面したときの、万感の思いを効果的に表現しています。


 なお、詩中に見える「大切な処で道を間違えた」「思い上がりたくない」との表現は、当時の日本はバブル経済の真っただ中にあったことから、その虚構の繁栄に浮かれる拝金主義の世相を風刺したものです。



 風に立つライオン    
                さだまさし


突然の手紙には驚いたけど嬉しかった
何より君が僕を怨んでいなかったということが
これから此処で過ごす僕の毎日の大切な
よりどころになります ありがとう ありがとう


ナイロビで迎える三度目の四月が来て今更
千鳥ヶ渕で昔君と見た夜桜が恋しくて
故郷ではなく東京の桜が恋しいということが
自分でもおかしい位です おかしい位です


三年の間あちらこちらを廻り
その感動を君と分けたいと思ったことが沢山ありました


ビクトリア湖の朝焼け 100万羽のフラミンゴが
一斉に翔び発つ時 暗くなる空や
キリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット
何より僕の患者たちの 瞳の美しさ


この偉大な自然の中で病と向かい合えば
神様について ヒトについて 考えるものですね
やはり僕たちの国は残念だけれど何か
大切な処で道を間違えたようですね


(間奏)


去年のクリスマスは国境近くの村で過ごしました
こんな処にもサンタクロースはやって来ます 去年は僕でした
闇の中ではじける彼等の祈りと激しいリズム
南十字星 満天の星 そして天の川


診療所に集まる人々は病気だけれど
少なくとも心は僕より健康なのですよ
僕はやはり来てよかったと思っています
辛くないと言えば嘘になるけど しあわせです


あなたや日本を捨てた訳ではなく
僕は「現在」を生きることに思い上がりたくないのです


空を切り裂いて落下する滝のように
僕はよどみない生命を生きたい
キリマンジャロの白い雪 それを支える紺碧の空
僕は風に向かって立つライオンでありたい


くれぐれも皆さんによろしく伝えて下さい
最后になりましたが あなたの幸福を
心から遠くから いつも祈っています


おめでとう さよなら


(終奏)



 迎風而立的獅子
            佐田雅志


突然接到妳的信讓我既驚訝又歡喜
而妳不再恨我的這件事
對往後還要在這裡的我而言
是非常重要的依靠,謝謝妳 謝謝妳


在這裡迎接第三年的四月
不知為什麼很想念從前跟妳在千鳥淵一起看的夜櫻
讓我思念的居然是東京的櫻花而非故鄉
這連我自己也覺得非常奇怪 非常奇怪


這三年來周遊各地
實在有太多、太多的感動想和妳分享


維多利亞湖的清晨百萬隻的紅鶴
一起飛上天時 天空整個黯淡下來的情景
齊力馬札羅山的白雪、草原上象的剪影
而這些都比不上我的病人們美麗動人的眼睛


在這偉大的自然中和疾病面對面交手
不禁會去思考關於神和人
果然我們的國家雖然很可惜地
但在最重要的地方似乎走錯了道路


(間奏)


去年的聖誕節是在國界附近的村莊過的
像這樣的地方 聖誕老公公也會來的,去年就是我
他們的祈禱及激昂的節奏在黑暗中宣洩開來
南十字星、滿天的星星以及銀河


雖然聚集在我的診所裡的人們生病了
但至少他們的心比我還健康
我想果然我有來真是太好了
說不辛苦是騙人的,但是很幸福


我並沒有捨棄妳或是日本
只是我不想自滿只活在當下


就像那切開天空降下來的瀑布
我希望我能勇往直前的活下去
蔚藍的天空映著齊力馬札羅山的白雪
我願自己是那迎風而立的獅子


請幫我問候大家
最後的最後 我會一直
自遠方、衷心地祝妳幸福


恭喜妳 再見


(終奏)




風に立つライオン/さだまさし



 映画版はこちら↓



 【伊賀山人博物院収蔵 国際貢献(IC)医療支援記章】



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