伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

掌聲響起(拍手が鳴り響く)


 「掌聲響起」(しょうせいきょうき・ヂャン シォン シィァン チー:拍手が鳴り響く)は、台灣で「帽子歌后」(帽子をかぶった歌の女王)とも「勞工天使」(労働者の天使)とも称されて全國民から愛された歌手鳳飛飛 (フォン フェイフェイ、fong fei fei、1953年8月20日-2012年1月3日)が、1986年9月 に発表した同名のアルバムのB面1曲目に収録しているアルバムの表題曲です。


 鳳飛飛は、1953年に台灣の桃園縣大溪鎮で生まれました。
 本名は「林秋鸞(リンシュウラン)」です。
 1967年、「林秋鸞」は14歲のときに歌唱の訓練の為、単身故郷を離れて臺北縣三重市租屋に移り住みました。
 その翌年から「林茜(リンセン)」という芸名でプロとしての活動を開始しました。
 18歳になった「林茜」は、1971年9月に《初見一日》という楽曲を発表し他の歌手との合同アルバム《歌林金曲唱片》の中に収録してメジャーデビューを果たし、11月頃に芸名を「鳳飛飛」に改めています。
 その後、歌手として活動する傍ら、生来の明るい性格を生かしてバラエティー番組を主催するなど多方面で活躍しましたが、2012年1月3日に肺腺癌により58歳の短い生涯を閉じています。
 彼女の訃報に接した中華民國總統馬英九は、「勞工天使」(労働者の天使)の早すぎる死を悼み、國家に対して大きな貢献があった國民に対して贈る栄誉賞「褒揚令」を授与し、その賞状の中で彼女を「庶民歌后」(庶民の歌の女王)と称えて生前の功績を顕彰しました。


 今回ご紹介する「掌聲響起」(しょうせいきょうき・ヂャン シォン シィァン チー)は、作曲が陳進興、作詞は陳桂芬です。


 歌詞の内容は青春の全てを賭けて歌手への道を歩み、今舞台に立って喝采を浴びている一人の女の心情を詠じたものです。
 なお、この歌詞は全ての句末が「・・ai」で脚韻を踏んでおり巧みに作られています。


 曲そのものは音域もそれほど広くはなく難しいものではないので、多くの歌手がカバーしていますが、逆に淡々とした曲調に情感を込めることは容易ではなく鳳飛飛を措いて上手く歌える歌手は見当たりません。


 掌聲響起は彼女の生涯を通ずる代表曲であり、1996年の李登輝、2008年の馬英九、この二人の中華民國總統就任祝賀祭でも演唱しています。


 今回ご紹介する動画は、2003年10月鳳飛飛50歳の時の「鳳飛飛35周年演唱會」での録画です。
 15歳の少女の時から35年、芸能活動に青春の全てを賭けて何かを探し求めて苦難に耐えてきた鳳飛飛、掌聲響起の歌詞に自らの来し方を重ね合わせて感極まり演唱中も滂沱の涙が止まりません。
 演唱後は、正に歌詞のとおり彼女が舞台を去るまで掌聲響起の鳴りやむことがありませんでした。
 演唱中一瞬声が震える箇所もありますが、それが却って詞意に適合しており、彼女の生涯を通ずる至高の絶唱であると伊賀山人は思っています。



 掌聲響起     拍手が鳴り響く
                             作詞:陳桂芬 
                             作曲:陳進興 
                             演唱:鳳飛飛
(前節)
孤獨站在這舞台      ただひとり舞台に立ち
聽到掌聲響起來      
鳴り響く拍手の音を聴くと
我的心中有無限感慨    
私の心の中には無限の感懐が湧き起こる
多少青春不在       
多くの青春の時を費やし
多少情懷更改       
多くの心に秘めていた志は既に変わってしまったが
我還擁有你的愛      
私はあなたの愛だけはまだ胸に抱いている
好像初次的舞台      
あの初めての舞台で
聽到第一次喝采      
最初の喝采を聴いたときのように
我的眼淚忍不住掉下來   
私の嬉し涙は耐え切れず溢れ落ちる
經過多少失敗       
これまでれほど多くの失敗を繰り返し
經過多少等待       
またどれほど多くのものを待ち望んできたのだろうか
告訴自己要忍耐      
忍耐が必要だと自分自身に言い聞かせながら…


(後節)
掌聲響起來        拍手が鳴り響く
我心更明白        私は心から理解している
你的愛將與我同在     
あなたの愛がまさに私と共にあることを
掌聲響起來        
拍手が鳴り響く
我心更明白        私は心から理解している
歌聲交會你我的愛     
歌声が混じり合せるのは あなたと私の愛であることを…


(間奏)


前後兩節通して1回繰り返し


後節2回繰り返し




【掌聲響起】鳳飛飛



 おまけ: 鳳飛飛生前最後の演唱会2010年11月▽

02.14 鳳飛飛 最後演唱會-16-掌聲響起