伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

愛的禮物(愛の贈り物)


 《愛的禮物》は、台灣の歌手鳳飛飛(フォン・フェイフェイ、1953年8月20日-2012年1月3日)が1973年3月に発表した同名のアルバムのA面第1曲目に収録している表題曲です。


 この楽曲は、その前年の1972年4月に日本の歌手小柳ルミ子(こやなぎ るみこ、1952年7月2日 - )が演唱してヒットした《瀬戸の花嫁》の台灣國語版です。


 作曲は平尾昌晃、作詞は山上路夫の歌詞を台湾の作詞家孫儀(経歴等詳細非公開)が翻案して作ったものです。


 孫儀の作詞の大意は、恋人に贈り物を贈る心情とそれを大切にしてほしいという願いを詠じたものです。


 この贈り物は「愛の贈り物」と抽象的に表現されており、具体的に何を贈ったのかは書かれていません。


 本来、贈り物とは物そのものではなくその物に託して気持ちや心を贈るものなのであります。
 この際、金額の多寡は問題ではありませんが、何でもよいというものではありません。
 自分の気持ちや心を贈るためには、相手の気持ちになって真に喜ばれる物を選ぶ必要があります。


 平成7年(1995年)1月31日に天皇皇后両陛下が阪神・淡路大震災の被災地のお見舞いに行幸された際には、皇后陛下はその日の朝、皇居の庭で自ら摘み取られた17輪の水仙の花を持参して供花されました。
 この17輪の花は、宮内庁が準備する高価な花束よりも更に一層皇后陛下のお気持ちを表しているからこそ、その後永久保存加工が施されて24年を経た今でも神戸市の布引ハーブ園に展示されているのであります。


 また、平成23年(2011年)3月11日に発生した東日本大震災の直後には、義援金として某大会社の社長はポケットマネーの10億円を寄付し、某小学女子児童は1年間貯めていたお小遣いの2000円を寄付しました。
 このニュースをテレビで見ていた被災地の老婆は、社長の寄付の話では眉毛一つ動かしませんでしたが、少女が欲しいものを買うために1年間貯めていたお小遣いを寄付した話には涙を流して聞き入っておりました。
 勿論、10億円と2000円とでは被災地支援の為の物質的な面では比較になりません。しかしながら、精神的な面では2000円に託された少女の気持ちは10億円に託された社長の気持ちに勝るとも劣らないといえるでしょう。


 物に拘らない「愛的禮物」(愛の贈り物)、今回は「庶民歌后」(庶民の歌の女王)と称された鳳飛飛の原唱でご紹介します。
 なお、詞中に見える「海枯石爛」とは漢籍を典拠とする成語で、原義は「海が涸れて、岩が砕ける」ということですが、転じて「不可能なことが起きる」或いはそのようなことが起きるまでの「非常に長い時間、永劫の時」を表しており、誓いの言葉などで「何があっても永遠に」というほどの意で多用される慣用句です。



 愛的禮物
 愛の贈り物
               作詞:孫儀 作曲:平尾昌晃 演唱:鳳飛飛
有一份愛的禮物 我要把它送給你
那是我的一顆心 愛你情深永不移
有一份愛的禮物 我要把它獻給你
那是我的情和意 海枯石爛永不渝
創造一個愛的奇蹟 留下一個愛的回憶
希望你把我的心 放在你的心坎裡

一つの愛の贈り物があります 私はあなたにそれを贈るつもりです
それは私の心からのものです あなたへの深い愛情は永遠に変わることはないのです
一つの愛の贈り物があります 私はあなたにそれを捧げるつもりです
それは私の真心と気持ちです 例え海が涸れても岩が砕けても永遠に尽きることのない
一つの愛の奇跡を造り出して 一筋の愛の記憶を留めたいのです
あなたが私の心を受け止めて あなたの心の奥底に置いてくれることを希望します


有一份愛的禮物 我要把它送給你
這是代表我的愛 你要對它多珍惜

一つの愛の贈り物があります 私はあなたにそれを贈るつもりです
これは私の愛を表しています あなたがそれを大切にしてくれることを願っています




鳳飛飛 - 愛的禮物 (1973)



鳳飛飛~愛的禮物(現場)