伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

男の修行

(大和ミュージアム資料から引用)


  75年前の、日米開戦時に連合艦隊司令長官であった海軍大将山本五十六(やまもといそろく、1884年(明治17年)4月4日 - 1943年(昭和18年)4月18日)は、数多くの名言を残していることでも知られています。


 「男の修行」もその一つで、多くの企業経営者が、座右の銘としています。 
 

 【男の修行】


 苦しいこともあるだろう

 云い度いこともあるだろう

 不満なこともあるだろう

 腹の立つこともあるだろう

 泣き度いこともあるだろう


 これらをじとこらえてゆくのが男の修行である 


 この言葉は、耐えることだけが人生であるかのように誤解されがちですが、あくまでも、じっとこらえてゆくのは「修行」であると述べているのです。
 つまり、修行の結果として、何か大きな人生の目標を達成できると示唆しているのです。


 人生の目標とは何ぞや?
 それは、人それぞれの立場や人生観によって異なるものであり、ここでは述べられていないのです。


 要は、大望を抱く者は、その本懐を遂げるための準備中には我慢することも必要であると教示しているのであります。


 なお、山本五十六自身は、決してこの言葉通りの我慢の人ではありませんでした。


 自分の乗る連合艦隊旗艦(当初は戦艦長門、1942年(昭和17年)2月12日からは戦艦大和)の冷蔵庫には、本土から取り寄せた菓子や果物など自分の好物を山ほど蓄えてそれを毎日食べていたため、痛風や脚気などの生活習慣病を患っていました。
 また、私生活においても、妻の他に妾も一人囲っておりながら、毎日のように芸者遊びにうつつを抜かしておりました。


 此の色紙の言葉は、本人自身の経験に基づき反省と自戒の念を込めて、本人にはできなかったことを後世の為に述べたものと解すれば蓋し名言でありましょう。



 そもそも、スローガンや標語の類には、それを標榜する人や組織には出来ていないことや不足していることが取り上げられていることは珍しくありません。


 例えば、相次ぐ不祥事で世間を騒がした三菱自動車の企業理念は、
 「大切なお客様と社会のために、走る歓びと確かな安心を、こだわりをもって、提供し続けます。」というものなのです。


 今まで、
 「大切な会社の為に、客の安心・安全を犠牲にして、こだわりをもって、だまし続けてきた」企業体質に鑑みると、ほとんどブラックユーモアですが、自らの組織に何が不足しているかをよく理解した上で打ち上げた立派なスローガンなのです。


 

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