伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

決死行


 男兒立志出鄕關
 功若無成死不還
 埋骨豈惟墳墓地
 人間到處有靑山



【大志を胸に山居の門を出る (門を敲かないで下さい! 壊れます。)】


 男兒 志を立てて、鄕關を出づ、

 男子が、大志を抱いて故郷の関所を出て行くのだから、




【絲綢の路上から振り返って遥かに望む伊賀山人の山居】


 功 若し成る無くんば、死すとも還らず。

 功成り志を遂げなければ、死んでも帰ってくることはない。




【近所の東山墓苑】


 骨を埋むる、豈に惟だ墳墓の地のみならんや、

 骨を埋めるのを、どうして墓苑だけに限る必要があろうか?

 いや、その必要はない。




【泉水(農業用溜池)から望む終南山】


 人間到る處 靑山有り。

 世間何処にでも、骨を休めて眠るのに適する、青々とした山はあるのだから。




【北大門に帰り着く】


かくして一時間後、大志を完遂して、無事帰還しました。


《Q&A》

Q: たった一時間で終わる「大志」とは、何ですか?

A: 蕨(わらび)採りです。


Q: 「決死行」とは、少し大袈裟ではありませんか?

A: 今日は、梅雨の中休みで、死ぬほど暑かったのです。





【麦芽美酒夜光杯  欲飲山菜俎上催】


 麦芽の美酒 夜光の杯 飲まんと欲すれば 山菜俎上に催す

 バカラの夜光のグラスにビールを注いで飲もうとすると、まな板の上のワラビが何かを急き立てているようだ。

 早く飲めと言っているのか、早く茹でろと言っているのか?


筆者注:生の蕨(ワラビ)には毒性があります。

    食用にするには、必ず、重曹を入れた熱湯に浸けるか塩漬けにするかして、

   アク抜きをして下さい。この際、完全に茹でるとバラバラに溶けてしまいます。