伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

その後の蕨

【山居の玄関前を流れる易水】


 昨日採取した蕨の調理法についてご紹介します。
 なお、昨日の調理状況は残念ながら撮影していませんので、文章のみになります。


 その前に、蕨の採取地について付言します。
 上掲の画像は、山居の西側を流れる易水です。(昨日まで「藍水」でしたが、漢字が難しいので変更しました。)


 易水の右側の擁壁は、終南山付近まで続く萬里の長城です。
 左側の擁壁の山居より向こうは、土塁になっています。
 この土塁が、蕨の群生地です。
 従って、蕨を採取するだけなら、10分くらいで終わります。
 昨日は、写真撮影のため、遥かに南山まで足を延ばしたので1時間かかりました。


 閑話休題


 恥ずかしながら、蕨の調理は、我が人生初めての挑戦ですので、ネットで検索した漬物屋のやり方でやってみました。


 蕨の調理はアク抜きから始めます。
 先ず、鍋に水を入れて沸騰させます。
 水量は、蕨の重量の2倍が目安です。
 私の蕨は400グラムでしたが、少し多めに1リットルの湯を沸かしました。
 湧きあがったら、火を止めます。
 決して、グツグツと音を立てている鍋に蕨を入れてはいけません。(鍋聲粛粛)
 蕨が溶けてしまいます。


 火を止めて少し冷めかかったころ、重曹を入れます。
 1リットルの湯であれば、5グラム前後が適量です。
 10グラム(1%)以上入れると、これまた蕨が溶けるそうです。
 重曹を入れた途端、炭酸ガスの泡が発生しますが、特に危険はありません。


 それから蕨を入れますが、私の鍋は小さくて、蕨全体が湯に浸かりませんでしたが、暫くすると、蕨が熱で柔らかくなってきて、鍋に収まりました。
 入れた途端に蕨が緑色に発色するのには驚きました。


 鍋より小さい皿を1枚蕨の上に重しとして乗せて、蕨が完全に湯に浸かるようにします。
 そしてそのまま、一晩寝かしておきます。(夜浸蕨)


【今朝の蕨】
 一晩寝かせた蕨も湯も、鮮やかな緑色に姿を変えています。(暁見山菜遍映緑)


【包丁(菜刀)】
 美濃の国、関の刀匠孫六が鍛えし伝家の包丁、久しぶりに取り出してみると、錆びていたので、10分くらいかけて、砥石で磨きました。(十年磨菜刀)
 「抜けば玉散る氷の刃」、その底光りには流星の趣があります。(流星光底)
 

【裁断を終えた蕨】
 まな板よりも長いものもあり、一本逃がしてしまいました。(遺恨…逸長蛇)


【完成品】
これで、終了です。



 蕨之詞
鍋聲粛粛夜浸蕨
暁見山菜遍映緑
遺恨十年磨菜刀
流星光底逸長蛇



 蕨(わらび)の詞
鍋聲(かせい)粛粛(しゅくしゅく) 夜 蕨を浸(ひた)し、
暁に見る 山菜の遍(あまね)く緑に映ずるを。
遺恨なり 十年菜刀(さいとう)を磨き、
流星光底長蛇を逸せんとは。