伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

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 仕事が片付き次第、対応いたします。   伊賀山人敬白

武道家の心得

 【大日本武德會空手道十訓】


 伊賀山人が最高師範を務める空手道天神流の綱領である「大日本武徳会空手道十訓」の其の七に
「勝利ヲ求メス不敗ヲ以テ至善トナス」とあります。
 これは、
「勝つことを追求する必要はない。負けないことこそが、この上もない善なのである」との訓戒です。


 伊賀山人が、これを弟子に説く場合には、武道家の心得として更に噛み砕いて次のように教戒しています。

  武道家の心得

1 危険なものには近づくな

2 危険が迫った場合には逃げよ

3 戦うのは万止むを得ない場合の最終最後の手段である

 由来、武術とは武力の一部であり、永遠に使わずに済めばそれに越したことはないのであります。


 過日、ある人のブログの記事に「売られた喧嘩は買います」との滑稽な一文が書かれておりました。
 書いた人のプロフィールを見ると、「大學出の50代の男」と標榜しておりましたが、俄かには信じられません。
 大の大人で、しかも50も過ぎたような者が、子供の喧嘩言葉にも等しきかくも幼稚な一文を平然と書く筈が有りません。
 恐らくは中学生かせいぜい高校生くらいの未熟者が、匿名をよいことに学歴・年齢を詐称して書いているのでしょう。
 
 もっとも、伊賀山人が中学・高校生であったのは既に半世紀も前のことであり、最近の学校事情には疎いので、或いは今どきの教師が「売られた喧嘩は買え」とでも教えているのかも知れません。
 
 「売られた喧嘩は買います」との文言が、幼稚で滑稽なのは、これが「私憤」を表わしているからです。
 子供の喧嘩のような個人的な憤りは、見苦しくもあり滑稽でもあります。
 人として、況や日本男児として生まれたからには、世の為人の為、「義憤」「公憤」に燃えてこそ潔くもあり美しくもあります。


 頭脳も身體も昭和初期の骨董品と化している武道家伊賀山人が、もし教師であったならば、生徒には次のように教示するでしょう。


「喧嘩を売られそうな場所や人には近寄るな。
 不届き者の方から近寄ってきて、喧嘩を売られそうになったら逃げろ。
 どうしても逃げられない時、或いは人助けの為には死力を尽くして戦え。」と…


追記: 伊賀山人は、売られた喧嘩も売られない喧嘩も買いません。残り少ない人生、無知蒙昧な慮外者に構っている暇は有りません。ただし、降りかかる火の粉は払います。