パレートの法則
【パレート図】
統計的技法の中に、パレート分析と言われるものがあります。
この分析手法は、その発展形のABC分析と共に品質管理や在庫管理に使われるものです。
パレート分析の考え方は、俗にパレートの法則と言われているもので、「結果の80%は、原因の20%から生ずる。」と言う事象のバラツキを表す一種の経験則です。
これを店舗の商品に当てはめると、上図のように売上高の80%は、全商品種類(点数ではなく品目数)の20%から得られていることになり、現実の販売実績をよく表しています。
グラフの形から、売れ筋の20%部をヘッド部分、その他のあまり売れていない80%部をテール部分と言います。
テール部分については、保管費用が嵩むこともあり、利益が少ないどころか赤字になることもあります。
そこで、利益率を上げるために、商品の種類をヘッド部分のものだけにして、1種類当たりの点数を増やすことが考えられます。
従来、実際にそのようなことをした事業主もありました。
すると、売り上げが上がるどころか、客が減ってしまい、今まで売れていたヘッド部分まで売り上げが落ちてしまいました。
この原因は、顧客の心理による集客力の低下です。
80%のテール部分も揃えている店であれば、顧客の安心感を満たすことができます。
売れ筋しか買わない客でも、それしか無い店よりも何でもある店に行きたくなるのが通常の顧客心理なのです。
つまり、一見無用と思われている80%の余り売れない商品にも、それ自身にもいつかは必要になるという本質的価値があり、また、売れ筋の商品を間接的に支えるという2次的価値もあるのです。
このようなことは、二千数百年も前に、老子や壮士は、「無用の用」という言葉で表現しています。
【パレート図のうちテール部分を強調した図】
従って、店舗には出来るだけ多くの種類の商品をそろえておくのが望ましいのですが、売り場の床面積にも制約があり、従来、どうしても売れ筋に偏るのはやむを得ないことでした。
ところが、近年、ネット販売が増えてきて、従来の売れ筋商品よりも、テール部分の余り売れない商品をラインアップして儲けることが可能になってきました。
これを、俗にロングテールの法則と言います。
ネット販売であれば、元々商品を陳列する店舗など構えていない所が多く、小さな事務所で営業だけと言うスタイルが多いため、メーカーが所有する在庫であれば、幾らでもラインアップできるからです。
Amazonでは、既に売上高の57%がテール部分で占められているそうです。
20%のヘッドの重要性に変わりはありませんが、これからの時代は80%のテールの価値が飛躍的に増大すると言っても過言ではないでしょう。
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