伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

批判と誹謗中傷との違いについて

 「批判」とは、他人の言動について、その誤った部分を、論理的に根拠を示して指摘し改善を求める行為です。これは、憲法が表現の自由として国民に保障する権利の一つです。


 「誹謗中傷」とは、厳密には「誹謗」と「中傷」とでは異なる概念ですが、他人を誹(そし)り貶(けな)すという面では共通しています。
 これらは、「批判」とは似て非なるもので、相手に改善を求める意図はなく感情的に責め立てるだけであり、名誉棄損罪や侮辱罪を構成する要件にもなります。


 ここで、注意すべきことは、「常識」という言葉です。「常識」という概念は、法律用語では「社会通念」と言います。社会通念は、ある一定の範囲の人々の間で反復して行われるようになったときには、慣習法として法規範の一つにもなりえます。しかしながら、慣習法になるまでには何十年もかかります。一般的に、我々が「それは社会常識だ!」という場合には、実は論理的根拠を欠く場合に独断と偏見により相手をやり込める手段となっていることです。裁判においても、これといった法規範が見つからない場合に判決で「社会通念」という文言が使われたりしますが、裁判官と検察官あるいは弁護士それぞれの立場により「社会通念」が異なることは言うまでもありません。


 ブログ社会の歴史は、たかだか10年くらいのものでしょう。社会通念を形成し確定するほど成熟はしていないものと考えます。
 裁判官ならともかく、市井の一般人が個人的見解に過ぎない「常識」を持ち出して、客観的根拠のない議論をしていたのでは妥協点は見い出せず、延々と誹謗中傷的非難の応酬が続くことになります。これもブログ炎上の原因の一つと言えるでしょう。


 上記の記事に、当然ご不満もあるでしょう。遠慮なくコメント欄に多くのご批判をお寄せください。ただし、根拠に基づく論理的なご意見を期待します。