伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

又見炊煙(また炊煙を見る:里の秋)


 《又見炊煙》は、台灣の歌手鄧麗君(テレサ・テン、1953年1月29日 - 1995年5月8日)が1978年8月に同名のアルバムの中の主題曲として発表した楽曲です。


 このアルバムは、日本の楽曲を東南アジアの漢文化圏に紹介する目的で製作されたもので、収録されている12曲全てが日本の楽曲に漢訳の歌詞を付けたものです。


 《又見炊煙》は、1945年(昭和20年)12月24日に発表された日本の童謡で、斎藤信夫(1911年3月3日-没年不詳)の作詞に海沼実(1909年1月31日 - 1971年6月13日)が曲を付けて童謡歌手川田正子(1934年7月12日 - 2006年1月22日)が演唱した《里の秋》に、台湾の作詞家である莊奴(1921年2月22日-2016年10月11日)が、歌詞を翻案して付けたものです。


 歌詞の内容は、原詞とは異なっており、農村の美しい風景の中に立ち上る民家の炊事の煙を擬人化して思いを寄せる人が去って行く姿に擬え、「どれほど景色が美しくても、私の心の中にはただ炊煙のようなあなたがいるだけ。」と詠じたものです。


 今回は、鄧麗君の原唱でご紹介します。
 なお、和訳については、伊賀流の訓読体だけにしていますが、人気記事にランクインした暁には現代口語訳を追加しようかと考えています。
 


又見炊煙
又炊煙を見る
また炊事の煙を見る


又見炊煙升起
暮色罩大地
想問陣陣炊煙
你要去哪里
夕陽有詩情
黃昏有畫意
詩情畫意雖然美麗
我心中只有你

又炊煙(すいえん)の升(のぼ)り起(た)つを見れば
暮色(ぼしょく)は大地を罩(こ)める
陣陣(じんじん)たる炊煙に問はんと想う
你(なんじ)は哪里(いづく)に去らんと要(もと)むるかと
夕陽(せきよう)に詩情(しじょう)有り
黃昏(こうこん)に画意(がい)有り
詩情画意 美麗なること然(しか)りと雖(いへど)も
我が心中には只だ你(なんじ)有るのみ

また炊煙が立ち上っていくのを見ていると
暮色が大地を包み込んでゆく
盛んに吹き上がる炊煙に訊ねてみたい
あなたはどこへ行こうとしているのかと
夕陽(ゆうひ)には詩情があり
黄昏(たそがれ)には画意がある
詩情や画意が美しいのは確かなのだけれども
私の心の中にはただ炊煙のようなあなたがあるだけ


又見炊煙升起
勾起我回憶
願你變作彩霞
飛到我夢裏
夕陽有詩情
黃昏有畫意
詩情畫意雖然美麗
我心中只有你

又炊煙の升(のぼ)り起(た)つを見れば
我が回憶を勾(よ)び起こす
願はくは你(なんじ)が彩霞(さいか)に変わり作(な)りて
我が夢の裏(うち)に 飛び到らんことを
夕陽に詩情有り
黃昏に画意有り
詩情画意 美麗なること然りと雖も
我が心中には只だ你有るのみ

また炊煙が立ち上っていくのを見ていると
私の記憶が呼び覚まされる
私は願う あなたが夕焼けの霞となって
私の夢の中へと飛んでくることを
夕陽には詩情があり
黄昏には画意がある
詩情や画意は確かに美しいけれども
私の心の中にはただ炊煙のようなあなたがあるだけ


夕陽有詩情
黃昏有畫意
詩情畫意雖然美麗
我心中只有你

夕陽に詩情有り
黃昏に画意有り
詩情画意 美麗なること然りと雖も
我が心中には只だ你有るのみ

夕陽には詩情があり
黄昏には画意がある
詩情や画意はまぎれもなく美しいけれども
私の心の中にはただあなたがあるだけ


詩情畫意雖然美麗
我心中只有你

詩情画意 美麗なること然りと雖も
我が心中には只だ你有るのみ

詩情や画意がどんなに美しくても
私の心の中にはただあなたがあるだけ




鄧麗君 - 又見炊煙/Teresa Teng - See The Chimney Smoke Rise Again


追記:本記事が人気記事のトップにランクインしたので、これを機に現代口語訳を追加しました。


 日本語版は、こちら↓


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