伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

手術後の検査

 手術後には連日、CT検査、レントゲン検査、血液検査など多くの検査を受けた。
 チーム医療の為、手術には外科の他、内科、麻酔科、放射線科など多くの診療科が関係している。
 それらの診療科ごとに必要とする検査があるようで、中には重複しているものもあったように思う。


 入院病棟の病室は6階にあったが、殆どの検査室が外来病棟の1階と2階にあったため、痛む腹を抑えて往復するのも難儀なことであった。
 心優しい看護師が、『車椅子で送りますよ~』と言ってくれたが、病人くさいことは伊賀山人の美意識に反するので丁重にお断りした。
 「なんのこれしき。拙者とて武士の端くれ、自分の足で歩いて行く。」と言ってみたら、免許取り立ての若い看護師に妙にうけた。
 『うわ~! 面白い~ 時代劇みたい~』
 看護師は笑っていたが、伊賀山人は片腹痛かった。


 退院前日の早朝、血液検査の為この看護師からベッド上で採血された。
 移動する必要がないので楽なものであったが、昼ごろになって、この看護師がハサミを置き忘れてないかと探しに来た。
 この新米看護師はよく忘れ物をする。
 その1週間前には点滴台を探しに来たこともある。そんな大きなものを一体どこに忘れるのか不思議に思った。


 翌日、午前中に退院という時期になって、腹部レントゲン検査の予約が入った。
 二日前に全く同じ検査を受けているので、不審に思って主治医に訊ねてみた。
 「昨日、看護師さんがハサミを探しに来ていたが、痛くもない腹ならともかく、いつまでも痛い腹だから探られるのですかね~?」


 その日のレントゲン検査は中止になった。
 ハサミが見つかったのかどうかについては聞き漏らした。



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