伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

白いサンゴ礁(白的珊瑚礁)


 「白いサンゴ礁」(白的珊瑚礁)は、日本のグループ・サウンズバンドであったズー・ニー・ヴー(Zoo Nee Voo)が、1969年4月 に発表した楽曲です。
 ズー・ニー・ヴーの活動期間は1968年から1971年までの約3年間で、この楽曲が累計売上17.7万枚を記録して、大ヒットには至らぬものの唯一のヒット曲となったものです。


 作曲は作曲活動を始めて2年の村井邦彦(むらい くにひこ、1945年3月4日 - )、作詞は作詞活動を始めて4年の阿久悠(あく ゆう、1937年2月7日 - 2007年8月1日)が担当しています。


 歌詞の構成は、2節からなる短いもので、各節は4聯からなる起承転結を構成しています。各聯は7字を1句とする2句からなっており、符割りは1句を2小節の4分音符に割り付けるという非常に単純明快で整然としたものです。。
 歌詞の内容は、嘗て訪れた白い珊瑚礁に将来恋人ができた時には二人で行こうと詠ずるだけの単純なものです。
 この楽曲がヒットしたのは、多分に当時の時代背景によります。
 1968年頃から東大紛争に象徴される学園紛争が全国的に激化していました。
 そのような中で、政治的活動には関与したくない一般の学生、所謂ノンポリの間では、学業に専念したくとも出来ない無力感や厭世観が蔓延していました。


 このような世上、ささやかな幸せを詠ずる楽曲が、大ヒットとはならないものの、ある程度学生を中心とする若者に受け入れられるようになっていました。
 この楽曲発表2年後の1970年に、村井邦彦作曲で山上路夫作詞により、フォークグループの「赤い鳥」が演唱した「翼をください」も同様のコンセプトにより作られたものです。


 この楽曲「白いサンゴ礁」は、全2節を演唱した後に第2節だけを再唱する比較的単純なもので言外の余情などはありませんが、歌詞の中には「青い海原」「白い珊瑚礁」と色彩のコントラストを詠ずるとともに、「群れ飛ぶかもめ」を挙げて鳴き声の喧騒を連想させることにより「ひそかに眠る白い珊瑚礁」の静謐を強調するなど、後に日本を代表する作詞家として活躍する阿久悠の非凡な才能を窺わせるものになっています。


 51年前の南の海を想わせる1曲、今回は、ズー・ニー・ヴーの原唱でご紹介します。



 白いサンゴ礁
 白的珊瑚礁 
            作詞:阿久悠  作曲:村井邦彦 演唱:ズー・ニー・ヴー
(第1節)
青い海原 群れとぶかもめ
心ひかれた白い珊瑚礁
いつか愛するひとができたら
きっとふたりで訪れるだろう

藍的大海 群聚飛的海鷗
被吸引心的白的珊瑚礁
如果不知不覺愛的人出現了
會一定二人訪問


(第2節)
南の果ての海の彼方に
ひそかに眠る白い珊瑚礁
まことの愛を見つけたときに
きっとふたりで訪れるだろう

南的盡頭的過海的遙遠地方
隱約地睡的白的珊瑚礁
向發現了時真實的愛
會一定二人訪問


(間奏)


(第2節再唱)




♪視聴No.2 ズー・ニー・ヴー Zoo Nee Voo/白いサンゴ礁 Shiroi Sangosho (1969年)