伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

糸 - 中島みゆき


 「糸」は、日本のシンガーソングライター中島みゆき(1952年2月23日 - )が、1992年10月7日に発表したアルバム『EAST ASIA』(イーストエイジア)の全9曲中最後に収録している楽曲です。


 この楽曲は元々、天理教三代真柱(しんばしら:天理教の代表者)中山善衞(なかやま ぜんえ、1932年7月7日 - 2014年6月24日)の長男で後に第四代真柱に就任して現在に至る中山善司(なかやま せんじ、1959年 - )の結婚の際にそれを祝うために作詞・作曲したものです。
 中島は両親共々天理教の信者であることから、その縁でこの楽曲を作成したものです。


 その後、コマーシャルソングやバラエティー番組のBGMとして使用されて、世間一般に知られるようになりました。
 1998年には、TBS系のテレビドラマ『聖者の行進』の主題歌としても使用されています。
 2020年8月21日には、この楽曲に着想を得た映画『糸』(監督:瀬々敬久、脚本:林民夫、主演:菅田将暉・小松菜奈)も公開されています。


 歌詞の内容は、相手を縦糸、自分を横糸に擬え、その二つの糸が織りなす布が誰かを温め、また誰かの傷をかばうかもしれないと詠ずることにより、二つの糸が出逢えたことこそが仕合わせであると主張しているものです。


 声高に祝意を謳い上げるのではなく、いつもの中島らしく比喩を用いて詩的に表現することにより、二人の前途をしみじみと祝うものになっています。


 歌詞の内容には宗教的なものや結婚に関することは一切含まれていないので、恋人たちへの静かな応援歌として30人以上の歌手がカバーしていますが、今回は本人の演唱でご紹介します。



 
 絲線

                作詞・作曲・演唱:中島みゆき  
なぜ めぐり逢うのかを
私たちは なにも知らない
いつ めぐり逢うのかを
私たちは いつも知らない

人 為何會相識
其實 我們都不清楚
人 何時會相識
其實 我們也無從得知


どこにいたの 生きてきたの
遠い空の下 ふたつの物語

以前在何處 過著什麼日子
遙遠的天空下 演著兩個人的故事


縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない

直的線條是你 橫的是我
我們交織而成的布 在未來的日子
也許能溫暖某人的內心深處


(間奏)


なぜ 生きてゆくのかを
迷った日の跡の ささくれ
夢追いかけ走って
ころんだ日の跡の ささくれ

人 為何要走人生這條路
那些感到迷惘之後的創傷痕跡
朝著夢想奔跑追逐
那些跌倒之後的創傷痕跡


こんな糸が なんになるの
心許なくて ふるえてた風の中

這樣的織線將會成為何物
只能無依無靠 在風中顫抖無助


縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かの
傷をかばうかもしれない

直的織線是你 橫的是我
我們交織而成的布 在未來的日子
也許能把別人的傷口輕撫


縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます

直的織線是你 橫的是我
本應相逢的兩條線 若真能牽手共舞
人們 稱之為一種幸福



 原唱版▼

糸 - 中島みゆき



 映画用セルフカバー版▼

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