伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

哭山之神



 哭山之神
山神麻美富春秋

雙鳳百年願淸遊
今日風光君不見
白雲愁色滿陵丘



 山之神を哭(こく)す
山の神の麻美 春秋(しゅんしう)に富み

雙鳳(さうほう)百年 淸遊(せいいう)を願ふたり
今日(こんじつ)風光(ふうくゎう) 君見へず
白雲(はくうん)愁色(しうしょく) 陵丘(りょうきう)に滿つ



 山の神の歸幽(きいう)を悲しむ
山の神の麻美は 春秋に富む乙女のときから
山人と二人で百年 各地を巡り山紫水明に遊ぶことを願っていた
しかし今日の景色を 君が見ることはない
愁いを籠めた白雲が 君の眠る小高い丘を覆い尽くしている



手稿:伊賀山人老師

編輯:老師的大弟子梅蘭(めいらん)