これが青春だ!(サミュエル・ウルマンの青春賦)
【マッカーサー執務室内、「青春」のレリーフ】
昭和天皇が、大東亜戦争終結後の1945年9月27日に東京日比谷の占領軍総司令部にマッカーサー元帥を訪問し、天皇としては史上始めて平民であるマッカーサーと並んで写真を撮られた部屋の壁に掛けられていた詩が、サミュエル・ウルマン(Samuel Ullman, 1840年4月13日 - 1924年3月21日)の青春賦でありました。
サミュエル・ウルマンは、1840年ドイツ生まれのユダヤ系アメリカ人で1924年米国アラバマ州で亡くなるまで生存中は全く無名の詩人でありましたが、マッカーサーは、自分の友人のジョン・ルイス(コーネル大学教授)から贈られたこの詩を、当時連合軍最高齢の65歳であった自らの心を鼓舞するため、いつも執務室に飾っていたそうです。
また、エドワード・ケネディーが兄ロバート・ケネディーへの弔辞にこのウルマンの詩の一節を引用したこともアメリカでは有名な話として知られています。
20年ほど前に、アラバマ州のバーニンガム市に、ウルマンが晩年を過ごした家がみつかり、彼の作成した他の詩も発見されました。
1993年にアラバマ日米協会(JASA)が、その家を買い取って修復し、日米親善事業の一環として「サミュエル・ウルマン博物館」を開設しました。
その後、博物館の運営はバーニンガム市にあるアラバマ州立大学が担当しています。
今回は、この青春賦の訳文と原文の全てを掲載して、読者各位のご供覧に呈します。
なお、ウルマンがこの詩を書いたときには、この詩の一節のとおり既に70歳になっていたそうです。
サミュエル・ウルマン、84歳の誕生日を目前に没するまで、永遠の青年でありました。
青 春 サミュエル・ウルマン
青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心,こう言う様相を青春と言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ。苦悶や、狐疑、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。曰く 驚異への愛慕心、空にひらめく星晨、その輝きにも似たる事物や思想に対する欽迎、事に處する剛毅な挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる
大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして偉力の霊感を受ける限り人の若さは失われない。
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至ればこの時にこそ人は全くに老いて神の憐れみを乞うる他はなくなる。
原文
YOUTH Samuel Ullmann
Youth is not a time of life; it is a state of mind; it is a temper of the will,a quality of the imagination, a vigor of the emotions, a predominance of courage over timidity, of the appetite for adventure over love of ease.
No body grows old by merely living a number of years; people grow old only by deserting their ideals. Years wrinkle the skin, but to give up enthusiasm wrinkles the soul. Worry, doubt ,self-distrust, fear and despair-these are the long ,long years that bow the head and turn the growing spirit back to dust.
Whether seventy or sixteen, there is in every being's heart the love of wonder, the sweet amazement at the stars and the starlike things and thoughts, the undaunted challenge of events, the unfailling childlike appetite for what next, and the joy and the game of life.
you are as young as your faith, as old as doubt ;
as young as your self-confidence, as old as your fear;
as young as your hope, as old as your despair.
So long as your heart receives messages of beauty, cheer, courage, grandeur and power from the earth, from man and from the Infinite, so long you are young.
When the wires are all down and all the central place of your heart is covered with the snows of pessimism and the ice of cynicism, then you are grown old indeed and may God have mercy on your soul.
Given to Douglas McArthur some years ago by John W. Lewis
is based on a poem written by the late Samuel Ullmann of Birmingham, Ala.
【遥か雲海を見下ろす富士山宝永火口に立つ山の神】
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