伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

鴛鴦(オシドリ)の図

 【鴛鴦圖】

 伊賀山人の母は生前、趣味で掛け軸の表装をしていました。
 そのため、遺品の中には、数多くの掛け軸や日本画が含まれています。


 上掲は、その中の一つ、「鴛鴦圖(雌雄のオシドリの図)」です。
 左の色鮮やかな方が雄(鴛)で、右の落ち着いた色の方が雌(鴦)です。
 落款はあるものの、作者は不明です。


 オシドリは、日本国内に住み着いていますが、夏の間は北の方、冬になると南の方に移動する漂鳥です。


 母を偲んで、このオシドリに因む五言絶句(平水韻下平聲七陽)を一首賦してみました。



   觀鴛鴦圖
 秋日江山麗
 西風吹微涼
 夕陽飛蜻蜓
 星影睡鴛鴦



   鴛鴦圖(えんおうず)を觀(み)る
 秋日(しゅうじつ) 江山(こうざん)麗(うるわ)しく
 西風(せいふう)は 微涼(びりょう)を吹く
 夕陽(せきよう)に蜻蜓(せいてい)は飛び
 星影(せいえい)に鴛鴦(えんおう)は睡(ねむ)る

 
   雌雄のオシドリの図を觀る
 秋の日に 川や山は美しく照り映えて
 西から吹く秋風は 微かな涼しさを運んでくる
 夕陽(ゆうひ)に照らされて トンボは飛び
 星影(ほしかげ)に見守られて オシドリは眠る