伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

Unending Love(終わりなき愛)

   【 七夕 七夕1582530 © momoと糸 (イラストAC) 】


 「Unending Love(終わりなき愛)」は、インドの詩人ラビンドラナート・タゴール(英語:Rabindranath Tagore、ベンガル語:ロビンドロナート・タクゥル 、1861年5月7日 - 1941年8月7日)の書いた詩の一つです。


 ラビンドラナート・タゴールは1861年5月7日、ベンガル州カルカッタの名門タゴール家に七人兄弟の末っ子として生まれました。
 タゴール家はラビンドラナート・タゴールの祖父デーベンドラナート・ダゴールの代にカルカッタ有数の大商人として成功した家であり、また彼の父親のデヴェンドラナート・タゴールは宗教家として名を成してヒンドゥー教改革運動のひとつブラフモ・サマージのトップを務めていたことから、ラビンドラナート自身も生まれながらにブラフモ・サマージの会員としてヒンドゥー教の影響を強く受けていました。


 彼は長じてから詩人 、思想家、作曲家として多方面で才能を発揮して、詩作や文筆活動では一般社会の最下層の人々の知恵・文化を語り、作曲ではヒンドゥー教やイスラム教などの宗教社会の最下層の人々が参加するベンガル地方の芸術的修行者集団バウルの歌声の影響を受けて生涯で2600曲以上の楽曲を製作しています。
 その中にはインド国歌やバングラデシュ国歌も含まれています。


 1913年には、タゴールはインドの古典を自らのインド英語で紹介した功績によりノーベル文学賞を受賞して、アジア人として初のノーベル賞受賞者となるとともにインド英語が世界に通用することを証明しました。
 彼は現在でもインドでは詩聖(グゥルゥデーウ )として非常な尊敬を集めており、英文化圏でも広くその名を知られています。


 今回ご紹介する「Unending Love(終わりなき愛)」は、アメリカのハリウッド女優オードリー・ヘプバーン( Audrey Hepburn、1929年5月4日 - 1993年1月20日)が、生前愛唱していた詩で、27年前の本日、彼女の訃報に接した「ローマの休日」以来の旧友グレゴリー・ペック(Eldred Gregory Peck、1916年4月5日 - 2003年6月12日)が、この詩を涙ながらに朗読して彼女の早すぎる死を悼んだことでも知られています。


 この詩は、七夕伝説を彷彿させる純愛詩ですが、インド訛りなのか詩的表現なのか判然としませんが、翻訳した伊賀山人自身も読み返す都度解釈が異なる程の、文意を掴みにくい非常に難解な詩です。


 伊賀流得意の文脈判断により力ずくで訳しておきましたが、もっと適切な訳があるとするなら博雅の教えを請います。


 動画では、グレゴリー・ペックの朗読とロシア生まれの作家シャーマ・ペレラの朗読とをご紹介します。



 Unending Love
 終わりなき愛
 愛無止境
                  Rabindranath Tagore
                  ラビンドラナート・タゴール
                  拉賓德拉納特·泰戈爾


I seem to have loved you in numberless forms, numberless times…
In life after life, in age after age, forever.
My spellbound heart has made and remade the necklace of songs,
That you take as a gift, wear round your neck in your many forms,
In life after life, in age after age, forever.
私はあなたを愛し続けてきたように思う、数え切れないほどの形で、数え切れないほどの時を超えて…
前世も今世も、過去も現在も、永遠に。
私の魅せられた魂は詩詞をネックレスのように作り続け、また作り直してきた、
それをあなたが贈り物として受け取り、様々な形であなたの首に飾ってもらうために、
前世も今世も、過去も現在も、永遠に。

我好像曾經愛過你無數次,無數種模式… 
前世複今世,過去複未來,永恆的。 
我痴迷的心正再次為你打造那串美妙音韻的項鍊。 
那是送你的禮物,可以隨意掛在你的脖子上。 
前世複今世,過去複未來,永恆的。


Whenever I hear old chronicles of love, its age-old pain,
Its ancient tale of being apart or together.
As I stare on and on into the past, in the end you emerge,
Clad in the light of a pole-star piercing the darkness of time:
You become an image of what is remembered forever.
私が古くからの愛の物語を聞くたびに、またその中の生老病死の苦しみや、
愛別離苦の故事を聞くたびに。
そして私が過去を見つめ続けているうちに、結局あなたが現れてくる、
時間の闇を突き抜ける一つの目標を付与するあなたが:
そしてあなたは私の記憶の中で一つの心象となる、永遠に。

當我聽著那熟悉的愛情故事,那是歲月的傷口, 
那是關於分離或相遇的古老傳說。 
當我再次凝望著過去時,在最後定能發現你,
北極星那明亮的衣裳,正照耀在時空的暗房。 
你已永遠變成記憶深處的形像。


You and I have floated here on the stream that brings from the fount.
At the heart of time, love of one for another.
We have played along side millions of lovers, shared in the same
Shy sweetness of meeting, the same distressful tears of farewell-
Old love but in shapes that renew and renew forever.
あなたと私は源泉から湧き出して流れる渓流に乗ってここまで浮かんできた。
その源泉はお互いを愛する時間の中心から湧き出るものだった。
私たちは何百万人もの恋人たちと同様に、同じ経験を分かち合った。
それは出会いの恥じらいを含んだ甘美さと別れの苦痛に満ちた涙であった- 
古い愛、しかしその形は次々に新しくなる、永遠に。

你與我漂浮在河流之上,正因為我們都來自相同的源泉。 
聽聽時間在訴說著各樣愛的故事。 
我們曾經與萬千戀人們擦肩而過, 
分享著初相遇時羞澀的甜蜜,再見時不舍的淚花 -
但是愛情總會再次復活,永恆復活。


Today it is heaped at your feet, it has found its end in you.
The love of all man’s days both past and forever:
Universal joy, universal sorrow, universal life.
The memories of all loves merging with this one love of ours-
And the songs of every poet past and forever.
今日その愛はあなたの足元に積もり、その愛はあなたの中で愛の終わりを見つけた。
けれどすべての人々の一生の愛は過去からずっと続く、永遠に。
普遍的な喜び、普遍的な悲しみ、普遍的な生活。
すべての愛の思い出は私たちのこのひとつの愛と融合する- 
そして、すべての詩人の詩詞は過去からずっと続く、永遠に。

今天又堆積在你腳下,那已不能再給你任何感覺了。 
所有人的愛情都已成為過去與永恆︰ 
宇宙的歡樂,悲傷,與生命, 
所有愛情的回憶將會結合為一體-
還有每一個詩人們的歌謠也已成為過去與永恆。




Gregory Peck




Unending Love by Rabindranath Tagore




 お知らせ:

 諸般の事情により、伊賀山人のブログは予約投稿を除き休眠状態にあります。

 「コメント欄」は非公開設定にしておきますので、ご意見・ご感想につきましては、返信を期待せずに自由にお書き込みください。

 末筆ながら、読者各位のご健康とご多幸をお祈りいたします。


   令和元年正月吉日

                     伊賀山人敬白