伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

みかんの花咲く丘(蜜柑花開的山丘)


 『みかんの花咲く丘(みかんのはなさくおか)』は、1946年8月25日に発表された楽曲で、日本を代表する童謡の1つとして知られています。
 作詞は加藤省吾、作曲は海沼實により、当時12歳の童謡歌手川田正子(かわだ まさこ、1934年7月12日 - 2006年1月22日)が、社団法人日本放送協会東京放送局(現・NHKラジオ第1放送。1951年まで日本の放送局はNHKしかなかった)のラジオ番組『空の劇場』で東京・内幸町の本局と静岡県伊東市立西国民学校を結ぶ、ラジオの「二元放送」で演唱した楽曲です。


 川田正子は、戦前から少女歌手として知られていましたが、終戦直後の1945年(昭和20年)12月24日、ラジオ番組「外地引揚同胞激励の午后」の中で演唱した『里の秋(さとのあき)』のヒットにより童謡歌手として不動の地位を確立していました。


 『みかんの花咲く丘』も『里の秋』と同様、川田の師匠でもある作曲家海沼實の曲作りが遅々として進まず、完成したのは放送前日のことでした。
 放送日に川田正子は歌詞を覚える時間がなく、楽譜を手に持って見ながら歌ったと伝えられています。


 歌詞の内容は、静岡県伊東市のみかん畑を舞台として、遠くに見える海を眺めながら、母親を懐かしむという内容です。
 この歌詞に見える「母さん」は、当時「姉さん」とする別バージョンもありました。
 終戦からまだ1年の当時「母さん」を懐かしむ歌詞では死別を意味しやすいのですが、「姉さん」であれば嫁に行ったと解釈できることから、当時、戦災により母親を失った多くの子供たちへ配慮したためです。


 今回は、今は亡き川田正子本人の演唱と台灣の心韻合唱團の演唱でご紹介します。



 みかんの花咲く丘 
 蜜柑花開的山丘
               作詞:加藤 省吾 作曲:海沼 実 演唱:川田正子
1.
みかんの花が 咲いている
思い出の道 丘の道
はるかに見える 青い海
お船がとおく かすんでる

蜜柑花 開著
回憶的道 丘的道
看上去遙遠的 藍的海
船隻 遠遠方 霞霧朦朧


2.
黒い煙を はきながら
お船はどこへ 行くのでしょう?
波に揺られて 島のかげ
汽笛がぼうと 鳴りました

一邊冒出黑的煙
船隻 是往何處 去吧?
被波浪搖動 進入島嶼後邊
汽笛 叭地 響了


3.
何時か来た丘 母さんと
一緒に眺めた あの島よ
今日もひとりで 見ていると
やさしい母さん 思われる

曾經 來過的山丘 和母親
一起 眺望 那個島
今日也 獨自一人 望看著
會思慕 慈祥和善的 母親



 (原唱版)

~みかんの花咲く丘~ 川田正子 (Original.Ver)



 (再唱版)

みかんの花咲く丘 川田正子



 (台灣版)

橘子花開的山坡


 追記:

 「みかんの花咲く丘」は戦後作られた童謡ですが、現在台灣でも心韻之歌(心に響く歌)の一つとして歌い継がれています。

 今回、2015年10月24日に台灣新北市蘆洲功學社音樂廳で行われた心韻合唱團25周年演唱會の動画を追加しました。  2018.8.24伊賀山人

PET検査予約


 本日は、奈良の病院で治療方針の総合判断の日でした。


 今日から正式に「ムズい流抜刀術」の先生が主治医となりました。
 治療法選択の優先順位としては、1手術療法(肝切除)、2ラジオ波焼灼療法(RFA)、3肝動脈化学塞栓療法(TACE) の順に決定しました。


 各治療法の比較評価の為の重要な要因は、予後の安定度と治療の難易度です。
 癌周辺の肝臓組織も出来るだけ多く切り取った方が再発の可能度は低くなります。
 また、癌が血管のすぐ傍にあって焼灼療法は血管破壊による出血リスクが大きいことが優先順位決定にあたって考慮した要因です。


 ただし、癌マーカーであるAFPの値が、現在3000を超える高値(正常値は10以下)であり更に増大しつつあることから、既に他の臓器への転移の可能性もあるため、来週PET検査で全身の発癌の有無を確認することになりました。


 PET検査(ペットけんさ)とは、癌を検査する方法の一つで、「陽電子放射断層撮影」という意味で、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(Positron Emission Tomography)の略です。
 癌細胞にはブドウ糖が集まりやすいという性質を利用して、ブドウ糖に似た作用機序を持つFDGと 呼ばれる放射性物質を体内に静脈注射することにより、その放射性物質の「癌」への集まりを画像として見るという検査です。


 理屈としては、全身の癌細胞を隈なく見ることが出来るということになっていますが、実際には費用の割に余り精度の良くない検査のようです。


 国立がん研究センターのがん予防・検診研究センターがある年のがん検診でのPET検査陽性率の解析を行っており、1年間でがん総合検診を受けた約3千人中、約150人に「癌」が見つかっていますが、そのうちPET検査で陽性となったのは15%に過ぎないというデータが発表されています。逆に言うと85%の「癌」がPET検査では発見することができないとも言えます。


 因みに現在のPET検査の診療費は、健康保険が適用できない健康診断などであれば全身検査で約10万円かかります。
 伊賀山人の場合には、多分、保険適用で3万円くらいになると思います。
 その額は伊賀山人の一箇月分の食費に相当する高額なものですので、費用効果の面では余り有効な検査とは言えません。


 それでも、近年PET検査が人間ドックなどでも盛んに使われるようになっている主な原因は、PET設備投資費用の回収にあるようです。
 この設備は一式10億円を下らない高額なものなので、仮に検査費を1回10万円に設定しているのなら、最低1万人は検査しないと赤字になるという理屈です。


 PET検査には、費用の割に余り多くのことを期待できませんが、次回の記事のネタくらいにはなるでしょう。


 今日の昼食は、またカツ丼にしました。


 「己に勝つ!」