伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

Seven Daffodils(「七つの水仙」~春を告げる花~)

 【伊賀山人庭園に咲いた七つの水仙】


 春告草 (ハルツゲグサ)と言えば、一般に雪解けの時期に咲くユキノハナ(スノードロップ)や早春に開花する梅の花などの総称ですが、伊賀山人庭園で春一番に咲く花は水仙の花です。


 そこで本日は水仙の花に因む「七つの水仙(Seven Daffodils:セブン ダフォディルズ)」と題する楽曲をご紹介します。
 この曲は、元々アメリカの歌手ピート・シーガー(Pete Seeger、1919年5月3日 - 2014年1月27日))とリー・ヘイズ(Lee Hays、1914年3月14日 - 2014年1月27日)が中心となって結成し1950年代に活躍したフォークソング・グループのザ・ウィーバーズ(The Weavers)が1957年に発表したものですが、当時はヒットしませんでした。
 1960年に発表した楽曲「グリーンフィールズ (Greenfields)」のヒットにより一躍校園民歌(カレッジ フォークソング)の旗手として頭角を現した同じくアメリカのフォークグループ ザ・ブラザース・フォア (The Brothers Four) が、この曲を1964年にカバーしてヒットし、その後50年以上に亘り現在も活動を続けているこのグループの代表曲の一つとなっています。
  
 歌詞の内容は、家も土地もお金もない貧しい大学生が恋人に七つの水仙を捧げようと詠ずる恋歌です。


 現代の感覚では甚だ貧乏くさく感ずるかもしれませんが、富める国と言われていたアメリカであっても、当時も今も大学生は貧乏なものなのです。
 というのも、修学に必要な学費は、日本のように親が支払うのではなく、学生本人がアルバイトをしたり奨学金を借りたりして賄うのが通常の姿であるからです。


 丁度60年前にリー・ヘイズが作詞・作曲した往年のラブソング、今回はブラザース・フォアの演唱でご紹介します。



 Seven Daffodils
 
七つの水仙
 
七個水仙
                    Words and Music: Lee Hays /Fran Moseley
                    作詞・作曲:リー・ヘイズ/フラン・モズリー


I may not have mansion, I haven't any land
Not even a paper dollar to crinkle in my hands
But I can show you morning on a thousand hills
And kiss you and give you seven daffodils
僕が豪邸を手に入れることは無理かもしれない、その為の広大な土地も持っていない。
それどころか、両手の中には皺くちゃになった1ドル紙幣一枚すらない。
けれども、千の丘の上の輝く朝を、君に見せることができる。
そして君に口づけし、七つの水仙の花を捧げることもできる。

我得到豪宅的說不定無理,也沒有為此廣大的土地
豈止如此,即使兩手的其中皺巴巴了的1美元紙幣連一張都也沒有     
但是,向你能現出一千山岡上面耀眼地取得的早上
又為你接吻,也能奉獻七個水仙的花


I do not have a fortune to buy you pretty things
But I can weave you moonbeams for necklaces and rings
And I can show you morning on a thousand hills
And kiss you and give you seven daffodils
僕は君に素敵なものを買ってあげられる財産を持っていない。
けれども、僕は月の光を織りなして、君の指輪やネックレスにすることができる。
そして、千の丘の上の輝く朝を、君に見せることができる。
そして君に口づけし、七つの水仙の花を捧げることもできる。

我沒有財產被你買極好東西的
但是,我織成月光,能要你的戒指和項鍊
並且,向你能現出一千山岡上面耀眼地取得的早上
又為你接吻,也能奉獻七個水仙的花


Oh seven golden daffodils all shining in the sun
To light our way to evening when our day is done
And I will give music and a crust of bread
And a pillow of piny boughs to rest your head
A pillow of piny boughs to rest your head

ああ、七つの黄水仙が太陽に輝いている。
僕達の逢瀬の後、夕暮れの帰り道を照らすように…
そして、僕は音楽と一かけらのパンとを捧げよう。
更に、君の頭を安らげるために太い松の枝を枕にして捧げよう。
君の頭を安らげるために太い松の枝を枕にして…

啊,七個丁香水仙被太陽照射閃耀著
我們的相會之後,為使照黃昏的歸途
並且,我向你獻上音樂和一小片的麵包
並且,奉獻松樹的大柯的枕頭,用睡眠向附有時你頭能安樂的

松樹的大柯的枕頭,用睡眠向附有時你頭能安樂的…




SEVEN DAFFODILS by The Brothers Four



 七水仙詞
      伊賀山人作
一二三四五六七
今年花似去年好
可憐水仙如仙女
遙想雲中瑤華島 




Seven Daffodils - Brothers Four

我和你(私とあなた)


 1977年4月5日、日本の歌手千昌夫の演唱による「北国の春」(きたぐにのはる)と題する楽曲が発表されました。
 作詞は「いではく」、作曲は「遠藤実」で、歌詞の内容は、都会で一人暮らしをしている若者が、故郷の北国に居る親兄弟や恋人を追憶して望郷の念を募らせるものですが、この曲が台湾でも有名になり、次のように数多くのカバー曲が作られました。

歌手(言語)- 「曲名」(和訳)


文夏(台灣語) - 「北國之春」

葉啓田(台灣語) - 「晴空萬里」(訳:青空はどこまでも)

蔡秋鳳(台灣語) - 「懷念的春天」(訳:懐かしい春の日)

洪榮宏(台灣語) - 「思鄕的人」(訳:故郷を思う人)

謝莉婷&林慶宗(台灣語) - 「深深的愛」(訳:深い愛)

黃瑞琪(台灣語) - 「沙西米甲娃沙美」(訳:刺身とわさび)

鄧麗君(台灣語・國語) - 「我和你」(訳:私とあなた)

鄧麗君(台灣語・國語) - 「北國之春」

余天(台灣語・國語) - 「榕樹下」(訳:ガジュマルの樹の下で)

林玉英(台灣語・國語) - 「地雷水餃股票」(訳:地雷銘柄株券にクズ銘柄株券)

 この中で、比較的「いではく」の原詩に近いのは、文夏と鄧麗君(テレサ・テン)が演唱した「北國之春」だけで、その他は全て原詞とは関係のない替え歌です。
 林玉英の版などは、「必ず値上がりするよ~」と言われて買った株が暴落して大損をしたというようなコミカルソングです。
 曲の方は、概ね「遠藤実」の原曲が使われていますが、中にはイントロだけ森進一の「襟裳岬」を流用したものなどもあります。


 今回は、伊賀山人発癌以来、激励の言葉をお寄せになった数少ない読者の方々に感謝の意を込めて、鄧麗君(テレサ・テン:1953年1月29日 - 1995年5月8日)の『我和你(私とあなた)』をご紹介します。
 


 我和你
 私とあなた
                  作詞:林煌坤 作曲:遠藤実 演唱:鄧麗君
  1節
我衷心地謝謝你 
一番關懷和情意
如果沒有你 給我愛的滋潤
我的生命 將會失去意義

私は心からあなたに感謝しています 
あなたの格別な配慮と思いやりの心に…
もしも私に愛の潤いを注いでくれるあなたがいなければ
私の生命は生きる意味を失ってしまうでしょう


 2節
我們在春風裏陶醉飄逸
仲夏夜裏綿綿細語
聆聽那秋蟲它輕輕在
呢喃迎雪花飄滿地
我的平凡歲月裏
有了一個你
顯得充滿活力

私達は春風の中で陶酔して彷徨い
仲夏(陰暦5月)の夜には、いつまでもしめやかに語り続けました
また秋には軽やかに鳴く虫の声を聴き
花吹雪のように雪が舞い散る冬を迎えました
私の平凡な歳月の中に
あなた一人がいてくれたことで
生きる力を満たすことが出来たのです


3節
我衷心地謝謝你 
讓我忘卻煩惱和憂鬱
如果沒有你 給我鼓勵和勇氣
我的生命 將會失去意義

私は心からあなたに感謝しています 
私を煩わせる悩みや憂鬱を忘れさせてくれたことに…
もしも私に激励と勇気を与えてくれるあなたがいなければ
私の生命は生きる意味を失ってしまうでしょう


(2節再唱)
(1節~2節再唱)





鄧麗君--我和你


筆者注: 動画の最後の方に鄧麗君の生没年が「1959-1995」と誤記されていますが、正しくは「1953-1995」です。