伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

ユリと訪問者

 【高砂百合と蜜蜂】


 立冬を過ぎましたが、季節外れの陽気に誘われて、伊賀山人庭園ではユリが一輪咲きました。
 花の蜜を求めて冬支度に忙しい蜜蜂も遊びに来ました。


 このユリは、テッポウユリ(鉄砲百合、学名 Lilium longiflorum)によく似ていますが、台灣原産のタカサゴユリ(高砂百合:学名Lilium formosanum)です。
 タカサゴユリは、花弁の根本の方に赤紫色の線が見えるのが特徴です。


  このユリは、1924年に園芸用として台灣から移入された帰化植物で、荒れた原野や砂交じりの土地でも育つことから、今では、海岸線付近から低地、高山帯、伊賀山人庭園に至るまで日本全国に広く分布しています。


 このユリの名前「高砂百合」は、沖縄語で台湾を指す言葉「タカサング(高砂)」に由来すると言われており、別名「台灣百合」ともいいます。


 伊賀山人大花園には、この台灣百合が毎年50本ほど咲きますが、今の季節に咲くのは珍しいので、読者各位のご供覧に呈します。



  花與蜂      花と蜂と
                      伊賀山人作七言絶句平水韻下平聲九靑
 秋風吹盡索居庭  秋風吹き盡くす索居(さっきょ)の庭
 黃葉丹楓覆小亭  
黃葉(こうよう)丹楓(たんぷう)小亭を覆(おほ)ふ
 覓蜜流蜂花一片  
蜜を覓(もと)むる流蜂(りゅうほう)花一片
 陽光粲粲意安寧  
陽光粲粲として意(こころ)は安寧(あんねい)たり


   花と蜂
  秋の風が吹き尽くして冬になったあばら家の庭で
  黄色く色づいた木の葉や赤い楓の葉が小さな東屋を覆っている
  蜜を求めて飛び回る蜂と冬に咲いた一輪の花に
  陽光が燦々と降り注ぎ心は平穏で安らかである

總有一天等到你(いつの日にか君の帰り來たるを待つ)


 「總有一天等到你」は、台灣の歌手蔡琴(Tsai Chin,1957年12月22日-)が 2002年8月1日に発表した2枚組のアルバム「意亂琴迷」の1枚目「台灣國語篇」の5曲目に収録している楽曲です。


 作詞は李雋青、作曲は姚敏で、歌詞の内容は何らかの事情で遥か遠く離れて暮らす男の帰りを待つ女の心情を詠じたものです。
 内容としてはやや単純なものですが、歌詞の全篇に亘り対句と句中対(一句の中で対になる詩語を含む)を散りばめて最後の一句(我總有一天等到你私はいつの日にかあなたが帰ってくるのを待っている)が際立つように構成しているところが巧みです。


 今回は、蔡琴の原唱でご紹介します。


 なお、同名の楽曲で、張學友(Jacky Cheung、1961年7月10日 - )が演唱したものがありますが、歌詞も曲も全く別の楽曲です。



總有一天等到你
いつの日にかあなたが帰って來るのを待っている
                   ​作曲:姚敏 作詞:李雋青 演唱:蔡琴
山又高呀水又急 
你在東來我在西
山把我們分 水把我們離 
我只有天天等著你

山は高く 川の流れは早い
あなたは東にいて 私は西にいる
山が私たちを分ち 川が私たちを引き離している
私はただ毎日あなたを待つだけ


海無邊呀洋無底 *1
你在東來我在西
海把我們分 洋把我們離 
我只有天天等著你

大海には果てがなく 大洋には底がない
あなたは東にいて 私は西にいる
大海が私たちを分ち 大洋が私たちを引き離している
私はただ毎日あなたを待つだけ


你是沙來我是泥 
我們倆生就在一起
我是膠來你是漆 
我們倆分開不容易

あなたが砂なら 私は泥 
私たち二人は生まれた時から一緒にいる
私が膠(にかわ)なら あなたは漆(うるし) 
私たち二人が分かれることなど簡単なはずがない


我重情呀你重義 
你不拋來我不棄
山也不能分 海也不能離 
我總有一天等到你 
*2
私は情に篤く あなたは義を重んじる
あなたは私を手放さず 私もあなたを見捨てたりしない
山も分つことはできない 海も引き離すことはできない
私はいつの日にかあなたが帰ってくるのを待っている


(間奏)


(*1~*2再唱)




蔡琴總有一天等到你