Hold your last chance(好機を掴め)
【 れんげ草、花言葉は「心が和らぐ」】
『Hold your last chance』(ホールド・ユアー・ラスト・チャンス)は、日本のミュージシャンである長渕剛が、1984年8月18日 に発表した自身7枚目となる同名のアルバムに収録している表題曲です。
長淵は、元々レコード会社の販売戦略によりアイドル路線でデビューした歌手でしたが、フォークロックを志向していた本人は自分の透き通ったアイドル調の声質を嫌って、消毒薬や焼酎などでうがいをして敢えて声を潰そうとしていましたが、ほとんど効果はありませんでした。
結局は、年間120箇所にもおよぶライブで歌い続けていたことから声帯にポリープができて、このアルバムを発表する頃からハスキーな声に変質しています。
ハスキーボイスになってからは初のアルバムでしたが、声質の変化が影響したのかそれほど大きなヒットにはならず、売り上げ枚数は約9万枚に留まっています。
『Hold your last chance』の作詞・作曲は長渕自身によるもので、歌詞は前章・後章に別れており、更にそれぞれが三段構成となっています。
三段構成とは、日本の雅楽に見られる「序破急(じょはきゅう)」や国際的に映画の脚本などに多用されている「三幕構成」などを示す概念です。
この三段構成は文章構成にも応用されており、「起承転結」の四段構成と双璧を成す「序破急」として多用されています。
三段構成は一般に、序で「設定 (Set-up)」、破で「対立 (Confrontation)」、急で「解決 (Resolution) 」の役割を持つ三段で構成されます。
この『Hold your last chance』に於いては、各章とも序段で一般の人々の持つ本質的な弱さや寂しさを指摘し、破段でその本質的な弱点に打ち勝つ優しさや強さや勇気や探究心を持てと続けて、急段で表面的な美しさに拘(こだわ)らず自分の努力で最後のチャンスを掴(つか)めと詠じて結んでいます。
詞題に見える「last chance」とは、普通に和訳すると「最後の機会」ということになりますが、英語本来の意味では必ずしも最終最後の機会ではなく「最上の機会」或いは「この上ない機会」とも解せる含みのある表現です。
「last(最後の)」と似たような英単語に「 final(最終の) 」と「ultimate(究極の)」があります。
「ultimate(究極の)」の用法としては、例えば人食いトラを追って鉄砲を持って山に入った猟師が弾を使いすぎて最後の一発となったところでトラに至近距離で出くわしたようなときに使います。つまりこの一発が当たらなければトラに食い殺されて次の機会はありません。これが、「ultimate chance(究極の機会)」です。
「 final(最終の) 」の用法としては、庭でムカデを見つけた時そのムカデが砂利の隙間に逃げ込もうとしているような時に使います。つまり、そのムカデを取り逃がしたとしても自分の命に別状はありませんが、このムカデを退治することは絶望的になってしまいます。
この歌詞の中の「last(最後の)」の用法としては、部屋の中でゴキブリを見つけた時などに使います。殺虫剤を持って待ち構えていると、うろうろしているゴキブリが一瞬射程距離内に入ることがあります。ゴキブリは射程距離内にいつまでもいるわけではありません。一旦遠ざかったとしてもまた舞い戻ってくる可能性もありますが、二度とは戻ってこない可能性もあります。若しかするとこれが最後のチャンスかもしれない。これが、「last chance(またと無い好機)」です。
説明が冗長になりましたが、本歌詞で歌い上げている「Hold your last chance」とは、「最後のチャンスを掴め」というよりも「好機を逃すな」というニュアンスの強い表現なのであります。
HOLD YOUR LAST CHANCE
作詞・ 作曲:長渕剛
(前章)
傷つき 打ちのめされても
はいあがる力が欲しい
人は皆 弱虫を
背負って生きている
にがい涙を かじっても
ほほえむ優しさが欲しい
君が愛に しがみつくより
先ずは 君が強くなれ
Hold Your Last Chance
小手先ではがれ落ちる美しさより
Hold Your Last Chance
ひとつぶの汗の方がいい
二度と走れぬ坂道を上ったら
Hold Your Last Chance
(後章)
誰かが 人生でつまづいたら
さしのべる思いやりが欲しい
人は皆 淋しさを
背負って生きている
頬を突き刺す怖さがあっても
立ち向かう勇気が欲しい
曲がりくねった迷路で
真実の自分を探すんだ
Hold Your Last Chance
テーブルに飾られたバラより
Hold Your Last Chance
野に咲く れんげ草の方がいい
二度と走れぬ坂道を上ったら
Hold Your Last Chance
Hold Your Last Chance
HOLD YOUR LAST CHANCE 長渕剛 いつかの少年 TOKYO DOME
抓住良機會
就算被打倒受傷了
仍想要有站起來的力量
每個人都背負著膽怯
而活著
咬著牙忍住苦澀的眼淚
好希望能給我一個溫柔的微笑
比起緊緊守住那份愛
還不如你先變堅強
抓住良機會
比起用指尖剝落下來的美麗
抓住良機會
還是流下一滴汗比較好
爬上不可能再次跑上去的波道
抓住良機會
有誰在人生中躊躇不前時
希望能對他付出關懷
每個人都背負著寂寞
而活著
就算害怕刺痛臉頰
仍希望能有面對的勇氣
在蜿蜒曲折的小徑中迷路
為了找尋真實的自我
抓住良機會
比起擺在桌上的玫瑰來說
抓住良機會
那開在荒野的紫雲英還比較美
爬上不可能跑的上去的波道
抓住良機會
Hold Your Last Chance
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