障害者への偏見
神奈川県相模原市緑区の障害者施設で26日未明、入所していた知的障害者が刺され、これまでに男女19人が死亡し、20人が重傷を負いました。
犯人の植松聖は、警察の取り調べに対し、「障害者は無用だ」「死んだ方がいい」などとうそぶいているようです。
植松の犯行は、このような障害者に対する偏見に満ちた言語道断な間違った信念に基づく確信犯です。
1億3千万人もの国民の中には、このような偏見を持つ馬鹿者も何人かはいるでしょう。
しかしながら、我が国は、縄文の昔から障害者の存在意義を認め、居場所を確保し、健常者と共に暮らしてきた社会です。
「働かざる者食うべからず」とする共産主義社会ならいざ知らず、この国でかくも偏見に満ちた思想を持つ者は、ごく一部に過ぎません。
今後、注意を要することは、このような凶悪犯は、いざ裁判になると、それまでの凶悪な動機を隠蔽して精神病を騙ることです。
これは、刑法39条の「心神喪失」「心神耗弱」による刑の減免を企むためです。
例えば、平成13年に大阪教育大附属池田小で、小学生8人を殺害し、15人に重傷を負わせた凶悪犯宅間守は、それまでに強姦や暴行傷害など前科13犯でしたが、その多くを精神病を詐病することにより刑を免れていました。
附属池田小事件では、さすがに精密な精神鑑定が行われ、精神病ではないことが証明されて、宅間は死刑を宣告されました。
法治国家の我が国に於いては、今回の犯人の植松もいきなり死刑になることはありません。
裁判になると、国選弁護人あるいは、余計なお世話で稼いでいるいわゆる人権派弁護士という者が付くことになります。
明々白々とした殺人事件の弁護にあたって、弁護人が真っ先に考えるのが、刑法39条の拡大解釈による悪用です。
植松の弁護にあたっても、必ず、おざなりな精神鑑定が行われることでしょう。
これで迷惑するのが、全国の精神障害者です。
凶悪犯が精神鑑定を受ける度に、「精神障害者は怖い」とか「精神障害者は犯罪を犯しやすい」とかの根拠のないデマが、一般人の意識の片隅に入り込みやすいのです。
精神障害者には、決して犯罪者が多いわけではありません。むしろ少ないのが真実です。
少し、資料が古いのですが、平成12年の犯罪統計によれば、日本の総人口約126,500,000人のうち、 刑法犯検挙人員数(交通関係業務上過失事件を除く)は、315,355人であり、犯罪者比率は0.25%です。
これに対し、日本の精神障害者は、少なくとも約2,170,000人はいると言われていますが、刑法犯検挙人員のうち、精神障害者の人数は、その疑いのあるものを含めても1,997人に過ぎません。犯罪者比率は僅か0.09%なのです。
つまり、精神障害者が犯罪を犯す比率は、国民平均の三分の一なのです。
マスコミは、何か凶悪事件があれば、犯人の精神病院への入院歴などを探り、詐病であるかどうかも確かめず、あたかも障害者が引き起こした事件であるかのごとく記事を垂れ流し、弁護士は弁護士で、刑法39条を悪用して犯人を精神障害者であるかのごとく偽装することが、障害者に対する更なる偏見を生み出す元凶になるのです。
そもそも、刑法39条は、障害の有無に拘らず、.心神喪失者や.心神耗弱者の行為について、その刑を減免するものです。
障害者だから、心神喪失や心身耗弱であり、正常な判断はできないであろうと考えること自体が、偏見なのです。
マスコミの変更した報道や、一部の弁護士の法廷戦術に惑わされず、物事は須らく、統計的・論理的に思考することが肝要と考えます。
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