伊賀の徒然草

伊賀名張の山中に閑居して病を養う隠者の戯言です。

大海 - 張雨生 


 《大海》は、高音王子と謳われた台灣の歌手張雨生(チャン・ユーシャン 1966年6月7日 - 1997年11月12日)が26歳の時、1992年11月30日 に発表して、今では彼の最高傑作と称される同名のアルバム《大海》に収録されている楽曲です。


 作詞・作曲は共に台灣の著名な音楽家陳大力です。
 この人は、日本の音楽家小椋佳と同様、楽譜が全く読めない人でしたが、1990年代に人口に膾炙する優れた作品を多く残しています。


 《大海》は、遠くへ去ってしまった恋人を思う男の心情を詠じたものです。
 歌詞の内容は、大海を見ながら、先ず恋人の思い出から歌い起し、次いでもし帰ってくるのなら一生待っていると続けています。
 これだけで終わってしまったら、着物を着た女演歌師が北の海を見て泣くといった類の日本の演歌によくある平板な詞になってしまいますが、この《大海》は、終盤の句が優れています。


 終盤で、もしも大海が愁いを持ち去ってくれるのなら、今まで受けた心の傷も涙も持ち去ってくれ、そして愛さえもと本心とは逆のことを詠じて無限の悲嘆を表現しているところが巧みです。


 張雨生の押しも押されもせぬ代表曲、今回はアルバム発表の5日前に台北で撮影された本人のオフィシャルビデオでご紹介します。


   大海
   大海
               作詞:陳大力 作曲:陳大力、陳秀男 演唱:張雨生
  從那遙遠海邊,慢慢消失的你,
  本來模糊的臉,竟然漸漸清晰。
  想要說些什麼,又不知從何說起,
  只有把它放在心底。

  あの遥か遠くの海辺へ、ゆっくりと消えていった君の、
  その日からぼんやりとしていた面影が、次第に鮮やかに蘇えってくる。
  何かを話したい、だけど何から話せばよいのか分からない、
  ただそれを心の底に置きざりにするしかない。
 


  茫然走在海邊,看那潮來潮去, *1
  
徒勞無功想把,每朵浪花記清,
  想要說聲愛你,卻被吹散在風裡。
  猛然回頭,你在那裡。
  如果大海能夠,喚回曾經的愛、
*3
  
就讓我用一生等待。
  如果深情往事,你已不再留戀、
  就讓它隨風飄遠。
  如果大海能夠,帶走我的哀愁、
  就象帶走每條河流、
  所有受過的傷,所有流過的淚、
  我的愛……
  請全部帶走。
*2
  茫然として海辺をさすらい、寄せては返す波を見ながら、
  いたずらに思いを起こし、澄んだ波しぶきが飛ぶごとに、
  君を愛していると声に出そうとするが、かえって風に吹き散らされてしまう。
  あの頃を振り返れば、君はそこにいた。
  もしも大海が、かつての愛を呼び戻すことが出来るのなら、
  僕は一生でも待つだろう。
  もしもあの頃の深い愛情に、君はすでに未練がないのなら、
  それを風に任せて遠くへ飛ばしてしまおう。
  もしも大海が、僕の哀愁を持ち去ってくれるのなら、
  幾筋もの川の流れのように持ち去ってくれるのなら、
  今まで受けたすべての傷、今まで流したすべての涙、
  そして僕の愛さえも……
  すべてを持ち去ってくれ。 


   (間奏)


  (*1~*2再唱)


  (*3~*2再唱)




張雨生 Tom Chang - 大海 (official 官方完整版MV)



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