国家賠償訴訟和解成立
【正義の女神】
1 要旨
平成24年以来、国を相手に戦ってきた国家賠償訴訟に関し、此の度、裁判官の勧告に
従い、国(厚生労働大臣)との間で和解が成立しました。
2 訴訟の経緯
昭和20年代、国が国民に強制した医療行政により、私はある種の病に感染し、平成元
年、突如発症して有効な治療法もなく、身体的苦痛に加えて高額な医療費による経済的
負担と当時の職場などにおける社会的偏見や差別に苦しむこととなってしまいました。
同様の被害者が、全国に数十万人存在し、回復不能な身体的・精神的・経済的損害を
被っていることを聞き及ぶに至り、全国の患者を救済することを主たる目的に、平成24
年、国を相手に訴訟を堤起しました。
国は、60年以上前から現在に至るまでの私の病歴・治療歴、更には、既に死亡してい
る者も含めて親兄弟の病歴に至るまで、複雑・広範・多岐に亘る証拠資料を弁論のつど
逐次要求するに及び、その収集には困難を極めました。
本年初頭、漸く全ての書証を提出するに至り、国は自らの故意と過失を認めるところ
となりました。
本年3月、裁判官は、当事者に対し和解を勧告するに至り、当事者たる国と私は裁判
官の勧告に従い、本件を和解によって解決することを合意しました。
3 和解勧告に応じた理由
(1)被害者救済に関しては、医療費助成制度の立法措置がなされて、一定の成果があっ
たこと。
(2)同種被害の再発防止については、不十分ながら行政措置がなされたこと。
(3)裁判官の和解勧告は相当重いものであり、今後結審に至るまで何年争ったとして
も、判決はほぼ和解勧告通りのものになること。
(4)自分の健康状態から余命を類推すると、これ以上係争することが必ずしも容易なこ
とではないこと。
(5)損害賠償額は、私の要求額の約6倍が認められて、今までの医療費を賄うには遠く
及ばぬものの訴訟費用だけは回収できること。
4 後に続く者に託さざるを得なかった事項
(1)新設された医療費助成制度は、治療法、医薬の種類、病態、自己負担額の規定な
ど、未だ不十分な面があり、改善を要する。
(2)再発防止策については、予防接種などを、強制ではなく任意にするというようなも
ので、本来の趣旨とはやや異なる。本来は、医療行政執行の安全性の確保が狙いであ
り、強制・任意の問題ではなかった。
5 附言
最後に、誤解のなきよう申し添えますが、私は、国や政府の転覆を企てる者ではあり
ません。私が、4年に亘り国と争っても、粛清もされず行方不明にもならなかったの
は、あくまでも国民が民主的に選んだ国や政府が相手であってのことです。
国際テロリストや我が国周辺の敵性国家よりも、自ら選んだ自国の政府の方が脅威で
あるとするような偏狭かつ異様な思想に加担するものではありません。
一朝、国家存亡の危機あらば、記事冒頭の正義の女神同様、剣を取って戦うくらいの
気概は、この老骨にもまだ残っています。
蟷螂の斧にも等しき私の戦に、4年もの長きにわたり、陰になり日向になりご支援・
ご協力を賜った関係者各位に深甚なる謝意を表しつつ、本日ここに、国を相手に挑んだ
戦の矛を収めます。
伊賀山人敬白
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