Good-bye the school days(さらば学園の日々)
「Good-bye the school days(さらば学園の日々)」は、日本のシンガーソングライター杏花(きょうか、生年月日等詳細非公開)が、1990年頃発表した楽曲です。
杏花の曲作りは、同じシンガーソングライターの山下達郎と似通ったところがあります。
「音の職人」と自他ともに認める山下達郎は、作詞・作曲・編曲のみならず、レコーディングにあたっては、スタジオミュージシャンには理解されないような難しい楽曲は、全ての楽器演奏を一人で行いオーバーダビングし更にバックコーラスまで自分で演唱して楽曲を仕上げることがよくあります。
このように1音1句までこだわりを持って曲作りをするため、発表された楽曲には佳作が多いのですが、如何せん寡作です。
杏花も山下同様、作詞・作曲・編曲・器楽演奏から演唱まで一人で行い多重録音をして楽曲を作り上げることが多々あります。
杏花の演唱は、荒井由美と同様にごまかしのきかないノービブラート唱法で、主に抒情詩を明日への希望や期待を込めて明るく溌剌と歌い上げるところに特色があります。
その意味では、くどくどしいコブシを唸り回して北の海を見て泣くという状況設定の多い女演歌師の対極にあります。
今回ご紹介する「Good-bye the school days(さらば学園の日々)」は、学校を卒業した女学生が、卒業式を終えて桜の木の下で学園生活を回想しつつ、恋人との別れの寂しさを滲ませながらも将来への希望と期待とを詠じたものです。
曲は歌詞の日本語アクセントによく適合しているので、詞先で作られているように思えますが、口語散文歌詞でありながら助詞を省略している箇所も幾つかありますので、曲作りの段階で歌詞も一部手直ししているようにも見えます。
歌詞は、全般的には回想部分も含めて情景描写の中に心情表現をこめたものです。
このような歌詞は、兎角に動きのない静かなものになりがちですが、歌詞冒頭で「微笑む」「歩き始める」「風」「旅立ち」と動的な詞語を畳み掛けて若い女学生の明朗快活な雰囲気を醸成することに成功しています。
また、「淡いピンクの風の中」と詠ずる一句で、卒業式が終って桜の木の下で春風を受けながら回想している雰囲気を余すところなく詞的に表現しています。
歌詞の殆どを視覚描写で綴っていますが、「甘い香りのカフェテラス」の句が嗅覚に訴えるアクセントとなっています。
また、最後の節に見える「『ありがとう』って背を向けた」の一句は、この歌詞の中では唯一の発声語であり聴覚に訴える詞語として歌詞全体の詩想をよく表現しています。
恋人との別れの場でありながら「けれども私の心の中の支えはあなただけ」と詠じているのは未練ではなく、あくまでも自分の人生の中では自分が主人公ではあるものの「恋人との思い出を今後の人生の一つの糧とする」と詠ずることにより、彼女自身の思い描く夢を実現するために別れを告げた彼への感謝の気持ちを婉曲に表現した思いやりの一言となっています。
或いはこの一句は、1978年にさだまさしが発表した楽曲「主人公」を意識したものなのかもしれません。
この楽曲が作られた時代背景は、良くも悪くもバブル景気の真っ最中でした。
学卒者の求人倍率は過去最高を記録しており、若者が将来への期待や夢を持ちやすい時代でした。
そのような中で、旅立ちにあたり恋人とは別の夢を持つ女学生の将来への期待感をよく表現した1曲、杏花とその楽団の演唱・演奏でご紹介します。
Good-bye the school days(さらば学園の日々)
再見校園的每天
作詞・作曲・編曲・演唱: 杏花
演奏: 杏花のオンリーハーツクラブバンド
微笑むあなたを背にして
歩き始める時が来る
淡いピンクの風の中
今 自由への旅立ち
把脊背轉向微笑的你
開始走時來
淺的粉紅色的風中
現在 向自由的出發
ふたり同じ生き方を
するのができないみたいだね
最後のわがまま許してくれた
優しさ忘れない
好像不能
做二人一樣的生活方式
容許了我的最後的任性
不忘記你和善
放課後のテニスコート
甘い香りのカフェテラス
ふたり過ごしたキャンパスに
桜のつぼみ 膨らむ
下課後的網球場
甜的香味兒的露天咖啡館
二人度過的向校園
櫻花的花蕾 鼓起著
自分の夢を選んだ
あなたの愛に生きるよりも
けれども私の心の中の支えはあなただけ
我選出了自己的夢
比生活都於你的愛裡
但是我的心中的支持只你
Good-bye the school days
卒業とともにこの愛とさよなら
再見校園的每天
與畢業一起再見這個愛
ゲートの前の別れ道
ありがとうって背を向けた
もう振り返りはしない
今 自由への旅立ち
門前面的離別道
說「謝謝」把脊背轉向了你
已經回頭看不做
現在 向自由的出發
(「Good-bye the school days by 杏花」から引用。著作権許可2019/08/15 ⓒ杏花)
Good-bye the school days by 杏花
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。